- 2020/12/14
- インデックス投資・ETF
ETFの信託報酬っていつ払う?いくら払う?|ETFと投資信託の商品性の違いやコストを比較

ETFは投資の中でもはじめる敷居が低く、少額から始めることができて成果も大きいことから投資を始めたばかりの人から、世界中の投資家まで注目を集めている金融商品です。
そんなETFには、かならず発生するコストとして“信託報酬”というものが存在します。
そこで今回の記事では、ETF自体の仕組みから信託報酬の仕組みまで解説していきます。
ETFとは
ETFはExchange Trashed Fundの略称で、「上場投資信託」を指します。証券会社に口座を開くことで、手軽に売買ができ、ETFは金融商品取引所にて取引されて自分の希望する証券会社の銘柄を購入して取引を行います。
具体的な例を挙げると、日経平均に連動する「(1321)日経平均」の場合、1銘柄2万円程度で225銘柄が購入できるほか、1銘柄に投資するだけで分散投資もできます。
これらの特徴から知名度は低いものの、日本の投資家でもかなり人気が広まりつつある金融商品と言えるでしょう。
ETFの仕組みとは
ETFは上場投資信託の事で、「投資信託(ファンド)」とは、投資家から集めた資産をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品の事を指し、自分が投資した証券会社の運用成果によって、投資家それぞれに投資額に応じた金額が分配されます。
ETFは投資信託の一部であり、”上場”投資信託。つまり投資信託の一部ではありますが、上場しているかしていないかという点が大きく異なる点です。
ETFに発生する信託報酬とは
ETFは投資信託なので、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間、管理費・運用費として支払う必要があり、この費用を信託報酬といいます。
この信託報酬についてもっと深堀りして説明していきます。
信託報酬の仕組みとは
継続的に何かしらのサービスを利用する契約をした場合には、必ず年会費を支払う必要があります。この年会費に当たる費用が信託報酬に該当し、投資信託の運営には、下記のように多数の運用管理会社が関わっており、それぞれに会社で様々な形で信託報酬で支払った費用が使われています。
信託報酬はいつ差し引かれる?
ETFの信託報酬は毎日支払う必要があります。この信託報酬は別途支払いを行うわけではなく、信託財産から随時差し引かれ、どのくらい差し引かれるかは、個々の投資信託の目論見書に、純資産総額に対する比率が年率で必ず記載されています。
この比率は投資信託によって異なり、この年率に投資信託の残高をかけた金額が毎日差し引かれるという仕組みとなっています。
投資信託の種類ごとに発生する信託報酬率の傾向を比較
投資信託には「公社債投資信託」と「株式投資信託」に分けられ、それぞれに信託報酬率の高低差がある程度傾向が定まっています。
公社債投資信託の信託報酬率
公社債投資信託とは、証券投資信託を投資対象ごとに分別したときに、約款上投資対象に株式を入れないこととして、公社債(債券)で運用する証券投資信託のことを言い、運用手法自体は単純な構成なことから、それに準じて信託報酬率も低くなります。
株式投資信託の信託報酬率
株式投資信託は主に3つの種類に分けられます。まずは今回紹介しているETF、そしてインデックスファンド、アクティブファンド。ETF(上場投資信託)は運用手法が単純なので、信託報酬率が低くなります。
基準価額が下落したとしても、信託報酬は経費なので必ず毎日差し引かれますので、そういった点でも信託報酬率が低いETFは始めやすい投資と言えるでしょう。
ETFと投資信託の比較
ETFは投資信託の一部という説明をしてきましたが、投資信託とETFは別物として定義されています。ここでは、ETFと投資信託の「売買手数料、「手軽さ」、「情報開示」というポイントに絞ってそれぞれを比較します。
ETFと投資信託の比較①手数料
ETFと投資信託にはどちらも売買を行う際に手数料が発生しますが、投資信託の場合「ノーロード」と呼ばれる手数料が発生しないものが増加している傾向にあります。
反対にETFの場合は基本的に0.2%の売買手数料が発生しますので、投資信託の方が若干ではありますが手数料がお得に取引できると言えるでしょう。
ETFと投資信託の比較②手軽さ
ETF最大のメリットとも呼べるのがこの手軽さであり、ETFの場合取引時間内であればいつでも取引が可能ですが、投資信託の場合は「売買する」と申し込んで、その売買が成立するまでに1日のタイムラグが発生します。
その1日の間に大きな変動が合った場合、想定していた取引額と値段が異なるという事も発生しかねません。
ETFと投資信託の比較③情報開示
ETFは”上場”投資信託であり、情報の開示が定められています。なので基本的には毎日保有資産や金額を開示しているので、リアルタイムでの情報取得量が多くなります。
反対に投資信託の場合は非上場なので、四半期に1度もしくは半期に1度のペースで運用報告会、及びレポートを通して投資先の内訳や運用実績を知ることができません。
投資初心者に適したETF銘柄は?
続いて投資初心者に適したETFをご紹介していきます。
投資初心者には、日経平均やTOPIXに連動している商品のように、連動している指数がわかりやすいく、流動性が高いものがおすすめです。
流動性が低いものだと買いたいときに買えない、売りたいときに売れないという事象が発生するためです。
ここでは初心者におすすめのETFを5つご紹介したいと思います。
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信の概要
運用会社名 | 野村アセットマネジメント |
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上場日 | 2001年7月13日 |
販売区分 | ETF |
分配金利 | 1.42% |
信託報酬 | 0.242% |
日経225連動型上場投信の運用方針
日経225連動型上場投信とは、日経225に連動する投資成果を目指すETFです。日経225というのは、株価指数の日経平均株価の別名であり、株価指数が225種類の銘柄から構成されていることからこの名称の由来となっています。
上場インデックスファンド日経225(ミニ)
上場インデックスファンド日経225(ミニ)(1578)の概要
運用会社名 | 日興アセットマネジメント |
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上場日 | 2013年3月25日 |
販売区分 | ETF |
分配金利 | 2.07% |
信託報酬 | 0.2475% |
上場インデックスファンド日経225(ミニ)の運用方針
上場インデックスファンド日経225(ミニ)とは、日経225連動型上場投信と同様に、日経225(日経平均株価)との連動する投資成果を目指すETFです。
ミニという言葉通り、他の日経平均株価に連動するETFと比べて、交換に必要な最低金額や、売買あたりの投資金額が少額となっています。
マザーズ・コア上場投信
マザーズ・コア上場投信(1563) の概要
運用会社名 | シンプレクス・アセット・マネジメント |
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上場日 | 2011年11月29日 |
販売区分 | ETF |
分配金利 | 0.89% |
信託報酬 | 0.55% |
マザーズ・コア上場投信の運用方針
マザーズ・コア上場投信は、対象の指標が東証マザーズCore指数であるETFです。
東証マザーズCore指数とは東証マザーズ上場銘柄を代表する15銘柄の値動きを表しており、その銘柄にはITやテクノロジーを中心としたベンチャー企業がほとんどです。
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)
東証REIT指数連動型上場投信の概要
運用会社名 | 野村アセットマネジメント |
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上場日 | 2008年9月18日 |
販売区分 | ETF |
分配金利 | 4.02% |
信託報酬 | 0.155% |
東証REIT指数連動型上場投信の運用方針
東証REIT指数連動型上場投とは、J-REIT市場全体の値動きを表す東証REIT指数への連動を目指すETFで、日本で初めて上場しました。
REITとはReal Estate Investment Trustの略で、投資家から集めたお金で不動産を購入し、家賃や売却益を投資家に分配する不動産に特化したETFです。
バンガード米国増配株式ETF
バンガード米国増配株式ETFの概要
運用会社名 | バンガード |
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上場日 | 2006年4月21日 |
販売区分 | ETF |
分配金利 | 3.4% |
信託報酬 | 0.06% |
バンガード米国増配株式ETFの運用方針
バンガード米国高配当株式ETFとは、FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスとの連動を目指すETFです。配当に着目された商品が数多くあり、低コストな投資を行えることが特徴です。
米国の利下げが予想される中、この配当株式への投資が再び注目されており、年率で0.06%という少額な経費で投資を始めることができます。
ETFの仕組みと信託報酬と投資信託の比較についておさらい
今回の記事での要点は以下のとおりです。
■信託報酬とは
ETFは投資信託なので、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間、管理費・運用費として支払う必要があります。この費用を信託報酬といいます。
■信託報酬はいつ引かれるのか
個々の投資信託の目論見書に、純資産総額に対する比率が年率で必ず記載されています。 この比率は投資信託によって異なり、この年率に投資信託の残高をかけた金額が毎日差し引かれます。
■投資信託との比較
【手数料】
・売買手数料はETFの方が若干コストがかかる
【手軽さ】
・ETFは取引可能時間であればいつでも取引が可能だが、投資信託の場合取引を確定してから1日程度タイムラグが発生する
【情報開示】
・ETFは毎日情報を参照できるが、投資信託の場合は4半期に1度、もしくは半期に1度しか情報が参照できない
■まとめ
ETFの基本的な仕組みから、信託報酬の必要性、投資信託との比較までを解説しました。信託報酬は毎日差し引かれていくものであり、単純に総収益にも影響します。
必要経費ではあるにせよ、名柄選定の際信託報酬にも着目してみましょう。