銀行の動向が資金調達市場を圧迫 通貨借り入れ市場やスワップライン、レポ市場に影響

ニュースのポイント

  1. 銀行の動向により、資金調達市場に年越しの圧力が高まっている
  2. 規制当局のスコア上昇に対処する銀行の動きが、通貨借り入れ市場や米連邦準備銀行制度のスワップライン、欧州のレポ市場に影響を及ぼしている
  3. 株価上昇は、銀行の保有株の価値を高め、規制スコアに上昇圧力をかける公算が大きい

圧迫が続く資金調達市場 銀行の動向が影響

資金調達市場の隅々で年越しの圧力が高まっている。その原因は銀行で、各行は、資本バッファーの水準を決定づける規制当局のスコア上昇に対処。その行動の結果として、その行動が、通貨借り入れ市場や米連邦準備制度のスワップライン、欧州のレポ市場に影響が及んでいる。

先週公表された最新のシステミックリスク報告は、7-9月(第3四半期)に大半の銀行のスコアが「期末後の株価の動きを織り込むより前に」上昇していたことを示したと、JPモルガン・チェースのヘンリー・セントジョン氏がリポートで指摘。 実際、MSCIオールカントリー・ワールド指数は9月末以降に約12%上昇している。

株価上昇は、銀行の保有株の価値を高めると同時に、規制スコアにさらに上昇圧力をかける公算が大きいため、銀行が対策を講じるよう、規制当局より促された。その結果として以下のような現象が見られている。

ドルの貸し出し縮小で、通貨ヘッジが急上昇

引用元:bloomberg.com

銀行は、ドルの短期資金を融通する市場でドルの貸し出しを縮小している模様だ。これにより、1カ月物のドルプレミアムが3カ月物に対して急上昇した動きが見られた。

銀行はまた、株式トータルリターンスワップを通じて株を貸し出し、バランスシート上の保有株を減らそうと尽力しているという。しかしこの取引に参加する投資家はドルが必要なため、連邦準備制度のスワップラインの利用が急増した。

ドルのスワップラインはスイス国立銀行を通じた借り入れで増加傾向

引用元:bloomberg.com

スワップラインは、スイス国立銀行(中央銀行)を通じた利用が特に多く、過去8営業日に3カ月物で57億ドル(約5940億円)の借り入れがあった。スイス中銀はスワップの担保となる証券の多くでヘアカット(担保価値の削減)をしないため、利用が多い傾向にある。日本銀行の場合、10年物国債の担保掛目は98.6%、欧州中央銀行(ECB)はドイツ国債に対し96%という数字である。

GCレートは、2年と3年で最も大きなマイナス

引用元:bloomberg.com

ドルを借りる担保として差し入れる債券を持っていない投資家は、債券を借りる必要がある。その影響がレポ市場に顕著に表れている。ドイツとフランスの国債を1カ月間借りるコストは急上昇。したがって、GCレートはそれぞれ2年と3年で最も大きなマイナスになった。マイナスのレートは証券を担保に現金を貸す投資家が利息を支払うことを意味している。

 

 

資金バッファー
資金バッファーは、資金保全バッファーとも呼ばれ、国際的に業務を展開する銀行が最低限保有すべき自己資本に加え、必要とされる上乗せ分の資本の水準を意味する。将来の経済危機に備え、取り崩しが可能な資本を一律に積み上げることを促す目的があり、金融危機の再発防止を目的とした指針「バーゼル3」によって導入された。参考:野村證券
スワップライン
スワップラインは、流動性スワップとも呼ばれ、中央銀行同士で通貨を流通させる仕組みを指す。自国通貨の預け入れと引き換えに、協定を結んだ相手国の通貨を事前に定めたレートで融通してもらえる協定で、通貨危機の発生に伴う国家の破綻を防ぐ狙いがある。参考:マネーワン
レポ市場
レポ市場は、主に日本の国債を取引対象として現金を担保に債券を貸し借りする「現金担保債券賃借取引市場」。取引期間が1年未満の「短期金融市場」の中核的取引の1つで、1996年4月に創設された。参考:三井住友DSアセットマネジメント
システミックリスク
システミックリスクは、個別の金融機関の支払い不能や、特定の市場または決済システムなどの機能不全が、他の金融機関や金融システム全体に波及するリスクを意味する。システミックリスクが現実化すると、多くの決済が混乱に陥り、企業や個人の経済活動にさまざまな悪影響が及ぶと言われている。参考:日本銀行
MSCIオールカントリー・ワールド指数
MSCIオールカントリー・インデックス指数は、先進国23カ国と新興国26カ国の49カ国の大型株と中型株で構成される株価指数。世界全体の株価動向を知るために広く利用されており、2018年12月末時点で、11セクターにまたがる2700を超える銘柄で構成されている。参考:投資資料館
GC(非特定銘柄)取引
GC取引は、GCレポ取引とも言い、現金担保が付いた債券の賃借取引の手法の一種。資金と債券を一定期間交換する取引で、債券の貸し手は債券を貸し出す代わりに現金を受け取り、一定期間が経過したあと、債券の貸し手は、債券を返してもらう代わりに借り手に現金を返す仕組みだ。資金の調達と運用を目的として、債券の銘柄を特定せずに行う。参考:野村證券

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