株式市場に比べ、回復が遅れるJ-REIT市場 

ニュースのポイント

  1. 日経平均株価が30年振りの高値をつける中、J-REIT市場は回復が遅れている
  2. 20年末ごろまでに悪材料はおおむね織り込まれていると考えられ、これ以上に下落する理由は見当たらない
  3. 専門家は割安と考え、今後の経済正常化を十分に織り込んだ水準には回復していない、とみているようだ

日経平均株価が30年振りの高値をつける中、振るわないJ-REIT市場

引用元:IT mdeiaビジネス

2020年3月頃、世界的に株式やREITの価格が急落、いわゆるコロナ・ショック後、J-REIT市場(以下、REIT)は株式市場に比べて回復が遅れている。これについての理由は以下の様なものが考えられる。

①報道にてオフィスの空室率の上昇や家賃収入の減少が伝えられている。②在宅勤務の増加が予想され、オフィス需要が低下する懸念がある。③一部のREITが分配金を引き下げるケースも出ている。④REIT市場における主要投資家である銀行の回帰が遅れている。などが挙げられる。コロナショックで大幅下落した日経平均株価が、30年ぶりの高値をつけるなど株式は急回復しているが、REITの回復はこれに比べると、どうしても遅れているように見えてしまう。

株式市場は、製造業の急回復やアメリカによる大型の財政支援策などが寄与している。また、飲食や対面の小売り、旅行や空運の低迷をカバーするほどにモノの売り上げが増えており、製造業や貨物運送、インターネット通販などを中心に利益や株価が回復してきた背景もある。しかし、REITと同様で不動産業の株価は相対的に振るわない。困難に直面する飲食業などとの家賃引き下げ交渉、在宅勤務によるオフィス面積の縮小などは、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むことで解決に向かうとも考えられる。しかし、現時点では回復の兆しよりも現状の厳しい情勢のほうが報道されやすい。

ただ、20年末ごろまでに悪材料はおおむね織り込まれていると考えられ、銀行による売却も一段落している模様で、これ以上に下落する理由は見当たらない。20年を通じて、金融機関の3月や9月の決算期末での売却に海外投資家が買い向かう構図がみられたが、銀行等も徐々に押し目買いに転じつつあるように見える。

高配当が魅力のREIT、割安なのか

引用元:IT mdeiaビジネス

日興アセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト神山氏は現時点でREITは割安と考え、今後の経済正常化を十分に織り込んだ水準には回復していない、とみているようだ。

前述した悪材料に応じて考えると、①今後、ワクチン接種が進むことなどで経済が正常化すると、オフィスの空室率の上昇・家賃収入の減少の鈍化や反転が期待できる、②在宅勤務の増加が予想される一方で、在宅勤務の困難さもよく知られるようになり、近郊の駅前のオフィス・ビル需要が増大するのに伴って、アクティブ運用のREITで銘柄入れ替えも進むと期待される、③REITの分配金も①・②の点から底打ちが期待できる、④主要投資家である銀行の市場への回帰の兆しが見え始めている、といったことが注目される。現時点は、これらの状況が市場参加者に十分に浸透していないことから「割安」な状態にあると考えているようだ。

また、REITの分配金利回りは12年ごろから4%前後(3〜5%のレンジ)で推移しており、債券利回りと比べて優れている。もちろん社債を含めた債券と比べれば償還も分配金支払いの約束もないのでリスクに応じての利回りだが、REITの特徴でもある「家賃収入」を裏付けに、不動産株の配当金よりも高水準で安定することが期待できる。2008年のリーマン・ショック以降、市場としての厚み・信頼感が増したことによる価格上昇が顕著だったため、REITへの投資が「価格上昇を期待する投資」と誤解されやすい。もちろん価格が上昇する可能性はあるが、長期投資を前提とした個人投資家にとっては、値上がり益を狙う売買の対象と考えるより、家賃収入を分配金にして受け取る、いわば「少額出資でもなれる大家業」ととらえるほうが適切だ。

J-REIT
多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。不動産に投資を行いますが、法律上、投資信託の仲間です。参考:投資信託協会
償還
債券は、満期日に債券の保有者に額面金額が払い戻されます。この満期日のことを償還日、払い戻すことを償還といいます。
償還日に一括で償還する(満期一括償還)ものが多いですが、償還日前に償還する(途中償還)ものもあります。途中償還には、全額または一部が繰り上げて償還される早期償還(期限前償還、繰上償還)や、一定の期日ごとに分割して償還される分割償還などがあります。
償還日に払い戻された金額と、購入したときの金額との差額が、利益(償還差益)または損失(償還差損)になります。参考:SMBC日興証券

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