- 2021/1/27
- アパート経営
アパート経営の費用やメリット、収支シミュレーションも解説!アパート経営に必要な初期費用とは?

土地の活用や資産運用として、注目を浴びているアパート経営に興味を持っているという方も多いのではないでしょうか。
不動産についてある程度の知識を持っている方は、用語や仕組みについて理解しやすいのですが、投資初心者にとってはパッと見ただけでは理解しにくい部分もありますよね。
そこで今回は特に投資の判断に重要な要素のひとつである「アパート経営の初期費用」に焦点をあてて解説をしていきます。
また、アパート経営に必要な維持費用やメリット・デメリット、収支シュミレーションについても触れていますので、今回の記事を参考にしながら、ご自身に合った選択肢であるかに役立てていただければと思います。
アパート経営をするにはどのくらいの初期費用がかかるのか?
保有している土地であったり、不動産を活用するにあたってアパート経営と呼ばれる不動産投資は注目を集めている手法のひとつです。
一方で戸建てやマンション一室を購入することはイメージできても、アパート経営となるとどのくらいの費用がかかるのか明確にイメージが湧かないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでまずはアパート経営をはじめるにあたって、どのくらいの費用が必要になるのかについて解説していきます。
アパート経営の一般的な初期費用とは?
アパート経営の初期費用を計算していく上で、特に初心者が注意をしておきたいのが、ローン利用時の頭金が含まれていない点と、建物の金額がわからないと全体の費用が把握できないという点です。
多くの費用は、工事費などの費用に料率を掛けて計算されるため、建物の金額が変われば全体の金額も大きく変わっていきます。
広く知られているのは、初期費用は購入価格に対して余裕を持って、1割程度と想定をしておくと良いと言われています。
ここではそれぞれの項目について大まかに分類して、アパート経営の初期費用としてどのような費用がかかるのかを見ていきます。
【アパート経営で必要な一般的な初期費用】
- 取得費用
- 不動産取得税
- 印紙税・登録免許税
- ローン関連費用
- 損害保険料
- 各種専門家に支払う外注費
初期費用①:アパートの取得費用
初期費用の中でもその大半を占めるのが取得費用です。実際の物件価格または新築する場合には解体費用や建築費用、各種設備の工事費等がここに含まれていきます。
この金額も建物の構造や規模、設備によって費用額が異なっていきます。
新築する場合には、一般に木造で坪当たり80~90万円、鉄骨造で坪当たり90万~100万円程度の費用がかかると言われています。
初期費用②:不動産取得税
土地や建物を取得した際にかかる税金である不動産取得税。
注意しておきたいのが、購入時点ではなく購入後半年から1年以上経過してから支払が発生するため、予め納税資金を手元に残しておく必要があります。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 標準税率4%
固定資産税評価額については、おおむね時価の6割~7割程度で計算されます。また標準税率ですが2021年3月末までは3%に設定されています。
また床面積が40~240平米の場合には、固定資産税評価額から1,200万円差し引くことが出来る特例が用意されています。
初期費用③:印紙代と登記にかかる登録免許税
その他に係る税金として契約に必要な印紙税の支払と、各種登記の費用がかかっていきます。
印紙税については契約金額に応じて税額が変わり、1000万円超~5000万円以下で1万円、5000万円超~1億円以下で3万円がかかります。
また登記については、所有権を示すための保存登記や移転登記、ローン契約による抵当権設定登記、新築の場合には表示登記といった費用がかかります。
特に建物に関しては計算も複雑なので、実際には司法書士に依頼して計算を行ってもらいます。そのため司法書士に支払う報酬も発生することになります。
目安ですが5000万円のアパートを購入すると、約50万円ほどの登記費用がかかる計算となっています。
初期費用④:ローン利用に伴う各種手数料
ローンを利用する場合には、保証料や事務手数料といった費用が別途かかっていきます。
保証料の目安となるのが借り入れする金額の2%前後と言われており、事務手数料についてはおおむね5万円前後と言われています。
初期費用⑤:火災保険や地震保険
アパートを経営していく上で、各種損害保険に加入しておく必要があり、保険料の支払いが発生します。
どのような保証内容にするのか、また期間や建物の規模にもよりますが、10年の一括払いで40~50万円程度と言われています。
初期費用⑥:各種専門家への支払手数料
その他にもいわゆる外注費にあたる費用が発生していきます。
登記費用でも触れた司法書士への報酬の支払いや、新規入居者を募集したり物件を管理するための費用、不動産の売買に仲介を挟んでいる場合には仲介手数料が発生していきます。
そもそもローンですべてをまかなうことができるのか?
ここまでに挙げた初期費用をすべて手持ちの資金で賄うことができる方は良いのですが、初期費用の総額も大きくなるので、ローンと自己資金を組み合わせて初期費用を支払っていくケースが多いと思います。
それでは、できるだけ自己資金を使わずに、その費用をすべてローンでまかなうということはできるのでしょうか。
結論から言うと、すべてのローンでまかなうというのは現実的ではなく、1割~2割程度の頭金を入れていかなければならないのが一般的です。
アパート経営に係る維持費用を理解して、シュミレーションしてみよう
アパート経営を進めていく上で、初期費用だけではなく運用を維持していき継続的な収益を見込めるのか長い期間を見据えた判断が必要になります。
基本的に収入面では、賃料収入や契約時礼金、自動販売機等の雑収入を想定していきますが、毎月・毎年のように発生する費用や支出がどのくらいかかり、どのくらい利益が出ているのかシュミレーションをしていくことが重要になります。
ここからは定期的に発生する費用や支出にについてまとめていきます。
アパート経営を続けている上で毎月・毎年発生する費用とは?
アパート経営を続けていく上で、定期的に発生する費用や支出として以下のような項目を考慮していく必要があります。
【アパート経営に必要な定期発生の費用や支出】
- 水道光熱費、管理費等
- ローンの返済
- 固定資産税・都市計画税
- 建物や設備の修繕・リフォーム
- 仲介手数料
維持のために必要な費用①:水道光熱費や管理費等
毎月発生する費用の代表例として、光熱費や管理会社に管理を委託した場合の管理費が発生します。
光熱費については専有部分については居住者の負担であることがほとんどのため、オーナーが負担するのはロビーや廊下など共用部分の光熱費になります。
また不動産管理に長けていない場合には、管理会社に定期的な清掃やメンテナンス、契約更新や客付けなどを委託します。
委託する業務範囲にもよりますが、家賃に5%前後が一般的と言われています。
維持のために必要な費用②:ローンの返済(元本や利息)
ローンを活用している場合には毎月発生する支出として、ローンの元本の返済そして費用として利息の支払いが発生します。
元本の返済は費用ではありませんが、シュミレーションを行うにあたって、利益も重要ですがキャッシュフローの観点は非常に大事です。
維持のために必要な費用③:固定資産税
不動産を保有し、事業として運用していると毎年かかる税金として、賃料収入から発生する所得税や住民税のほかに、固定資産税が発生します。
固定資産税 = 固定資産税評価額(時価の6~7割程度)× 1.4%
維持のために必要な費用④:建物や設備の修繕・リフォーム費用
建物や設備は時間を経過すれば経年劣化によって、故障したり修繕が必要になってくるため、定期的に訪れる発生に備えた計画が必要になります。
いざ必要となった際に、修繕やリフォームに回す資金がなければ、他の手持ち資金から出すなどの対応をしなければなりません。
そのまま放置してしまえば、新たな入居者を見つけにくくなり、空室リスクを引き上げてしまうことになってしまいます。
維持のために必要な費用⑤:仲介手数料
新たな入居者が契約してくれた際には、入居者を客付けしてくれた仲介業者に対して、仲介手数料を支払います。
不動産会社が受取る仲介手数料は家賃1ヶ月分が上限とされており、基本的に借主と貸主から半分ずつ出すことが通例となっています。
そのため賃貸契約が切れる入居者がいるような年度では、このような費用も必要経費として想定しておく必要があります。
シュミレーションのために必要となる情報とは?
それではアパート経営のシュミレーションを行う上で、どのような情報を集めて作成していけばよいのでしょうか。
インターネット上の様々なサイトでは、収支を計算するシュミレーターが用意されていますが、その内訳がどこまで考慮されているのか知っておかなければ、誤った判断に繋がりかねません。
シュミレーションにあたってどのような要素があるのか、5つのステップを踏まえて解説していきます。
ステップ①:自己資金として準備できる金額
まず必要な情報として、アパート経営にあたりどのくらいの自己資金を準備して投資を行うのか把握しておく必要があります。
すべてを初期費用に使ってしまうと、急な支出が発生した場合に対応できなくなるので、ある程度自己資金を手元に残せるような計画にしていく必要があります。
ステップ②:物件購入に利用するローンの割合
続いて初期費用に対して、自己資金とローンをどのような割合で使っていくかを検討していきます。
初期費用に対してどのくらいの金額のローンを設定でき、建物の構造などから借入期間を想定することで、毎月の返済額と自己資金を手元にどれだけ残しておけるかの計算に繋がります。
ステップ③:賃料収入を想定する
次にこれから運用しているアパートの賃料収入を想定していきましょう。
このとき参考となるのは、周辺にある同様の間取りの賃料相場です。また駐車場などの収入が見込める場合には合わせてここで想定をしておきましょう。
また賃料収入については、満室想定の場合と、空室が発生している場合とパターンを分けておくと良いでしょう。
ステップ④:初期費用と維持費用を見積もる
ここからはこれまでの情報を元にしながら、前述している初期費用・維持費用について見積もっていきます。
このとき初心者の場合には、可能な限り保守的な計画を立てていくことをおすすめします。
ステップ⑤:計算したシュミレーションから投資判断に繋げる
最後に計算されたシュミレーションを元に投資の判断に繋げていきます。
毎月の収入でローンの返済や費用を賄えない状態ではそもそも事業として立ち行かなくなりますし、ご自身がイメージする利回りを取れているのか。
また経営努力によって改善できるポイントがあるのかなど、長期的かつ全体を見ながら判断を行っていきましょう。
アパート経営において踏まえておきたいリスク
ここからはアパート経営にのみならず不動産の投資において、理解しておきたいリスクについてまとめていきます。
投資にはリスクが付き物ではありますが、想定しておくことで準備しておくことや、起こってからの対応も早くなります。またそもそも自身に合った投資であるのか判断するためにも有用です。
入居者が決まらない!空室のリスク
最も考えておかなければいけないのは、入居者が決まらずに空室になってしまうリスクです。
入居者が入れ替わるタイミングで短い期間であれば良いものの、何ヶ月も借り手が見つからなければその分収入が減ってしまい、収支・キャッシュフローに大きく影響してしまいます。
また賃料を引き下げなければいけない事態にまでなってしまうと、トータルでの収入減に繋がってしまいます。
ローンの返済に影響する金利上場リスク
ローンの支払利息を変動金利にしている場合には、返済する支払利息の金利は変動することによって毎月の支払額増えてしまうというリスクがあります。
借り入れの際には、変動金利か固定金利を選択することになりますが、固定金利を選択する場合別途手数料がかかったり、変動金利よりも利率が高めに設定されているためどちらにもメリット・デメリットがあると言えます。
時間が経過することで発生するリスク
建物や設備は時間が経過していくことで、修繕やリフォームが必要になり、古くなればなるほど修繕費がかさんでしまう傾向にあります。
同じような条件の新築が近くにあり、賃料もそう変わらないのであればどうしても新築にお客様を取られてしまい、家賃を下げるなどの対応を迫られてしまいます。
賃料自体は特別な事情がなければそう簡単に落ちるものではありませんが、シュミレーションにおいても、築年数に応じて収入が減っていくことも想定しながら進めていかなければ、後々負債を抱えてしまう可能性もあります。
不動産は放置することもリスクと認識しておく
近年、放置された空き家が社会的にも問題になっており、政府・自治体で様々な対策がなされています。
空き家を放置した結果、空家対策の特別措置法における「特定空家」に指定された場合、適切な対応を取らなければ罰金を課されてしまいます。
また、空き家や空き地が犯罪の温床になったり、地域住民とのトラブルに繋がってしまう可能性もあるため、オーナーとして責任を持った対応が必要になっていきます。
アパート経営に必要な初期費用とは!初心者アパート経営マニュアルのまとめ
今回はアパート経営の初期費用とリスクに焦点を当てて解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
注目されている投資のひとつではあるものの、メリットとデメリットの両方を認識しておかなければ、ただただ資金の無駄遣いに繋がりかねません。
ご自身の判断で行えるように、しっかりと知識を習得して、リスクと上手く付き合いながら運用をしていくことを意識していきましょう。