英紙衝撃報道「スーパーの鶏肉がアマゾンの森林破壊につながる」、アグリテックへ高まる関心

ニュースのポイント

  1. 英ガーディアン紙は鶏肉の餌となる大豆の生産地、アマゾンの森林が生産拡大のため焼き払われていると報道した
  2. 細胞ベースの人工鶏肉がシンガポールで世界で初めて販売承認された
  3. 欧州最大規模のアグリテックに特化したベンチャーファンドが創設された

英紙衝撃報道「スーパーの鶏肉が森林破壊につながっている」

燃え続けるアマゾン熱帯雨林 
引用元:KIZMODO

英ガーディアン紙が報道した、鶏肉消費に関わる衝撃的な事実が英国を中心に波紋を呼んでいる。昨年、ブラジル・アマゾンの熱帯雨林の森林火災問題がSNSなどで広く話題となったことを覚えている人も多いだろう。同紙が報じたのは、このアマゾンの森林破壊とスーパーやファストフード店で提供されている鶏肉が強く関連しているということだ。

スーパーやファストフードで提供されている鶏肉は、餌として大豆が与えられている。この大豆の生産地がアマゾンが中心で、生産拡大のために森林が焼き払われ、これまでに少なくとも800平方キロメートルに及ぶ森林が消失したという。東京23区(627平方キロ)よりも広い面積だ。

英著名テレビプレゼンターのクリス・パッカム氏はこの報道に触れ、「消費者は自分が食べる食品に関してもっと情報を得るべきだ」と指摘した。また、「スーパーで購入するものが自然破壊につながっているという事実に目を向ける必要がある」と語った。

世界初、細胞ベースの人工鶏肉がシンガポールで販売承認

Eat Just社の人工鶏肉を使ったナゲット 
引用元:AXIS

衝撃報道の1週間後、またも鶏肉に関する衝撃報道が発表され、次はポジティブな意味で消費者を驚かせた。シンガポールで世界で始めて「細胞ベースの人工鶏肉」の販売が許可されたというものだ。

この鶏肉は話題のプラントベースの人工肉とは異なるものだ。プラントベースの人工肉とは、植物性たんぱく質などから生成された肉のような食感の物質、要するに代用肉だ。一方で、細胞ベースの人工肉とは、鶏の細胞から食肉部分だけを生成したもの。つまり、食感は鶏肉と全く同じの人工肉だ。これなら鶏の飼育などが必要なく、大豆利用による森林破壊を心配せずに食すことができる。

この人工鶏肉を製造しているのは米国拠点の企業Eat Justという会社。細胞ベースの人工肉を製造している企業は、Eat Justのほかにも多数存在しており、シンガポールでの販売許可を皮切りに、世界各地で増えてくることが見込まれる。

欧州では域内最大規模のアグリテックに特化したベンチャーファンドが登場

Infarm(インファーム)のスマート栽培ユニット 
引用元:Impress watch

この細胞ベースの人工肉など食に関わるテクノロジーは「アグリテック」と呼ばれている。今やクリーンテックと並び起業家や投資家の関心が急速に高まっている分野だ。土壌汚染や森林破壊など、環境汚染が広く取り沙汰される昨今、一般消費者の関心も高まっており、アグリテックは急速に広がる可能性を秘めている。

スポティファイにベンチャー投資したことで知られる、ベンチャーキャピタルのAstanor Venturesという投資会社が、欧州最大規模といわれるアグリテックファンド創設した。アグリテックに特化した「Global Impact Fund」だ。運用額は3億2500万ドル(約338億円)、チームは投資パートナー/アドバイザーのほか農業専門家、微生物学者、シェフなど28人で構成されている。すでに、植物工場スタートアップのInfarm(インファーム)や昆虫食企業Ynsect(インセクト)などに資金を投じており、最終的に25~30社に投資する計画だ。

Infarmは植物工場スタートアップの中でも特に注目される存在である。これまで累計3億ドル(約312億円)資金調達しており、日本でも紀伊国屋がInfarmの野菜栽培システムを導入し、店内での野菜販売をスタートさせる模様だ。

Astanor Venturesの創業者エリック・アルカンボー氏は、アグリテックに特化したファンドを創設した理由について、「農業では生産性を高めるために、農薬や栄養剤が大量に投入され、土壌を汚染している。こうした農業を取り巻く問題に対して、起業家、企業、消費者、投資家の意識は高まっており、アグリテックへの期待が高まっている。環境への良いインパクトとリターンを同時に達成できる時宜を得たもの。」と語っている。

米調査会社MarketsandMarkets(マーケッツアンドマーケッツ)によると、2020年のアグリテックテック市場規模は138億ドル(約1兆4370億円)で、今後年率10%近くの伸びとなり、2025年には220億ドル(約2兆2900億円)と2倍近く拡大する見込みとのことだ。アグリテック・スタートアップの躍進に期待したい。

英ガーディアン紙
イギリスの大手一般新聞である。旧題号はマンチェスター・ガーディアン。編集方針は中道左派・リベラル寄りとされ、読者の多くは労働党か自由民主党の支持者である。伝統的に労働党を支持しているが、2010年の総選挙では自由民主党を支持。紙媒体の発行部数は約14万部(2018年現在)、紙媒体と電子版と合わせた定期購読者の数は50万人以上である。参考:Wikipedia
アマゾン森林火災問題
ブラジルを中心とするアマゾンの熱帯雨林地域における火災が、2019年に入って急増したとされる事件である。2019年8月、前年同期に比べて、アマゾンの火災件数が85%増加している事が判明した。識者はジャイール・ボルソナーロが大統領に就任した2019年1月以降、火災件数が大きく加速したと指摘する。参考:Wikipedia
Eat Just(イートジャスト)
カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く非公開企業。従来の方法で生産された卵製品に代わる植物ベースの代替品を開発し、販売している。Eat Justは、2011年にJoshTetrickとJoshBalkによって設立された。初期のベンチャーキャピタルで約1億2000万ドルを調達し、2016年には10億ドルのバリュエーションを超えてユニコーン企業となった。参考:Wikipedia
Ynsect(インセクト)
昆虫の繁殖と家畜および家畜の原料への変換を専門とするフランスの会社 。これらの成分、主にタンパク質と脂質は、動物の栄養市場を対象としている。2011年に設立されたこの会社は、25以上の特許を申請することにより、1億7500万ユーロ以上の資金を調達した。Next40のメンバーであり、Tech4Good 2019の優勝者であり、100人以上の従業員を雇用している。最大20,000トンの昆虫ミールを生産できる自動化された工場を建設した。参考:Wikipedia

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