【投資家向け】実質0円で上場企業が買える?時価総額と現金残高が矛盾してる会社11選(1億〜30億)

企業を買収するには、一般的な多額な資金が必要であると思われがちです。買収先が上場企業であれば尚更のことで、小規模な会社でも数億円、大企業なら数千億円以上が必要というのが一般的です。

しかしながら、世の中に多数存在する上場企業の中には、株を100%買収するのに実質的に必要な金額、つまり時価総額より、企業の現金残高が多い場合が少なからずあります。

こうした企業をもし買収した場合、買収後はすぐに企業が抱えている現金が手に入るため、実質的に0円で上場企業が買収できるということになります。

今回はそんな実質0円で買える上場企業の中から、時価総額が1億円~30億円の企業を、企業の特徴から4つのセクションに分けて、合計11社紹介します。

 

ITコンテンツ・ゲーム関連企業

現金保有の多いいわゆる「キャッシュリッチ」な企業を探索しているうえでまず目についたのは所謂IT系、そのなかでも近年成長が著しい、コンテンツやゲーム関連の企業でした。

前時代からあるネットワーク通信インフラなどを構築する企業と異なり、こうしたコンテンツ・ゲーム系の企業は電子上で形のない商材ができてしまうことから、初期投資は小さく、軌道に乗れば安定的なキャッシュフローが期待できます。こうした事情から必然的に有形資産(建物や機械など)が少なく、現金が多くなるのかもしれません。

一方で、新興の成長企業が多いためか、現金保有が多い一方、現時点では赤字の企業も散見されました。成長過程である以上は仕方ない部分もありますが、本当に買収することとなった場合は、今後健全な成長により利益化できるかどうかは注視する必要があります。

 

アクセルマーク

アクセルマークの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
21億円 -6億円 -8億円 22億円 55億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額22億円に対し、直近決算(2020年6月)では55億円の現金を保有
  • ブロック・チェーンを用いたオンラインゲームを展開
  • 代表作は「川柳少女」「コントラクトサーヴァント-CARD GAME-」

 

アクセルマーク株式会社は、東証マザーズに上場するゲーム会社です。創業まだ13年程度しか経過していないので、上場企業であることを踏まえれば若い企業と言えます。仮装通貨の普及と共に今注目を集めているブロックチェーン(取引履歴を記録した台帳を分散管理する技術)を活用したオンラインゲームを展開しています。

時価総額22億円に対し55億円の現金を持っていることから、今この企業を買収すると30億円以上の現金が手に入ることになります。

過去にはさまざまなメディアミックス展開がされた「川柳少女」のくじ引きサービスである「川柳少女 くじコレ」を展開して話題を集めました。現在は、「コントラクトサーヴァント -CARD GAME-」を主軸としております。こちらはカード形式を主体としたゲームですが、ブロックチェーン技術を活用することで、1兆通り以上と無数に近いデッキ組み合わせが構築できる点が特徴です。

大企業の決算に見慣れている人ですと経常赤字が続いている点が懸念材料かもしれませんが、これは成長企業ではやむを得ない部分もあります。発展途上の企業であることから、今後の成長や規模の拡大を優先して先行投資やマーケティングの実施を行っていると見られます。

近年では毎年30億円前後の売り上げが安定的に計上されていることから、例えば今後の成長を泊め、投資やマーケティングコストなどを削減すれば黒字を出すことは困難ではないと推測されます。「成長余地がある」からこそ、敢えて赤字を計上して投資を行っているものと考えられます。

参照:https://www.axelmark.co.jp/ir/finance/highlight.html

 

ベクター

ベクターの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
5億円 -0.00億円 -0.07億円 28億円 88億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/9/30時点

 

  • 時価総額28億円に対し、直近決算(2020年9月)では88億円の現金を保有
  • オンラインゲームとオンライン上でのPCソフト販売が主軸
  • ソフトバンクのアプリサービス「App Pass」の運営も受託

ベクターは東証ジャスダックに上場している企業です。こちらは1989年創業ですから、こう業種にしては比較的長期間にわたり経営されている企業と言えます。オンラインゲームのカテゴリに分類されることも多いですが、現在はゲームやツールなどのソフトを販売も行っております。

買収すると、時価総額を60億円も上回る88億円もの現金が手に入る企業です。自己資本比率も70%を超えており、非常に健全性が確保されている企業と言えます。

自己資本比率を高く保っていることから、当面は心配ありませんが、元々主軸であったオンラインゲーム事業は縮小傾向にあります。近年はオンライン上でのアプリ販売、ソフト販売の規模拡大が測られています。

元々はPCソフトの販売+開発を軸としておりましたが、不調に陥ったPCソフト開発からは撤退する一方、ソフト販売についてはオンライン市場としては国内最大級の規模に成長しています。また、近年はソフトバンクからiPhoneむけアプリサービス「App Pass」の運営業務を受託することでも、安定的な収益を計上しております。

足元はやや向かい風要因もありますが、主力のソフト販売が国内最大級となっている点は安心材料となります。当面の間は潤沢な現金や自己資本が下支えとなることに加え、これまでも上手に業域をシフトさせてきた実績がありますので、事業の継続が危ぶまれるというほどではありません。

参照:https://ir.vector.co.jp/corp/vector/

 

エヌリンクス

エヌリンクスの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
17億円 9億円 1億円 25億円 105億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/8/31時点

 

  • 時価総額25億円に対して、直近決算(2020年8月)の現金は100億円以上!
  • ゲーム攻略サイトを始めとしたIT・メディア領域でのビジネス展開
  • ニッチながら有望な業域を得意とすることで売上は拡大傾向

 

エヌリンクスは東証二部に上場している企業です。こちらは創業10年程度の新興企業です。ゲーム関連企業と分類されることもありますが、いわゆるゲームコンテンツ自体を提供しているのでなく、ゲームの攻略サイト「アルテマ」の運営を行っている企業です。アルテマによる広告収入や、後で紹介するYoutuber向けのサービスが収益の中心となっています。

時価総額は足元で約25億円ですが、直近決算に基づくと何と現金は100億円以上となっております。この企業を買収すると、買収金額より70億円以上も上回る現金が手に入る計算になります。今回紹介する企業の中でも、ひと際多額の現金を手に入れることができる企業です。

また、その他お部屋探しサイトや、最近ではYoutuber向けの動画制作サポートサービス、オンラインを通じた採用サポートやアウトソーシングサービスなど、オンラインを軸としつつも独特なビジネス構成を持っています。

システム関連のインフラなどではなく、Webページや動画制作など、コンテンツ関連のビジネスに集中している点がエヌリンクスの特徴でもあります。

特にYoutube制作ビジネスは、バーチャル映像・リアル会場を用いた映像制作、撮影から編集・ファイナライズまでワンストップで対応してくれ、個人では到達することが難しいクオリティの画像を、Youtuber自身の負担を減らしながら作成することができます。

このニッチながらも有望な市場でビジネスを行っていることを武器として、順調に売上高を拡大させています。

2020年の年次決算は純損失となっておりますが、売上は順調に伸びており、決算の中でも「ビジネス拡大のための人件費によるもの」とされております。従って、心配というよりむしろ今後の成長が期待できる企業でもあります。

もしかすると、冒頭紹介したあまりに多い現金も、今後何かに投資するための準備資金なのかもしれません。そうだとすると、早めに買収しないと、この現金は手に入らなくなってしまいます。

参照:https://www.n-links.co.jp/service

法人向けサービス企業

法人向けに無形のサービスを提供する企業にも、時価総額に対して現金保有が多い企業がいくつか見られました。多数の一般消費者ではなく、法人を相手にすることにより、宣伝コストや多人数の顧客に対応するためのインフラ整備が不要となり、また無形商品を販売することから製造関連の設備も不要です。

こうした背景から、やはり有形の資産が少なく済むため、現金を多く保有しやすい業態であるといえます。

いずれの企業も独自性が強く、かつ今後の需要も見込める有望な企業です。小さいながら、業績も黒字を継続していたり、売上高の拡大が続く安定企業が並びます。

 

サイジニア

サイジニアの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
10億円 -1億円 -1億円 22億円 32億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額22億円に対して直近決算(2020年6月)では32億円の現金を保有
  • デジタル・マーケティングのコンサルティング企業
  • 「デクワス」というビッグデータを活用したツールによるマーケティング分析が強

 

サイジニアはデジタルマーケティングにおけるコンサルティングやサポートをメインビジネスとする企業で、東証マザーズに上場しております。設立は2005年なので創業15年の新興企業です。こちらの企業は時価総額22億円で買収すると、32億円の現金を得ることができます。

多数の人と人との関係性や出会いを解析して、自然と形成されたコミュニティを分析した解析結果を用いる「複雑ネットワーク理論」を応用した「デクワス」エンジンを活用して、データ理論に基づいたマーケティング戦略を構築することを特徴としています。いわゆる近年注目を集めるビッグデータを活用したビジネスということになります。

こちらのエンジンを背景に、特にEコマースの分野でのマーケティング戦略の策定やサポートを強みとしています。購入情報や広告閲覧・クリック情報を「デクワス」によってビッグデータとして解析を行うことで、従来よりはるかに効率的かつ効果的なマーケティング手法を実行することができます。

ビッグデータを活用したマーケティング戦略という先進的かつ有望な市場に強みを持っていることから、将来性にも期待が持てます。売上は2017年から連続して拡大しており、特に足元一年で急速にビジネス規模を拡大しております。

マーケティング戦略は経営の中において、日本では欧米ほどはこれまで重視されていた来なかっただけに、近年は注目が高まっていることから、この企業のビジネスチャンスも大きいといえます。

収支は赤字が続いておりますが、このように売上は順調で、成長を加速させるために投資を優先している結果であると思われます。

引用:http://www.scigineer.co.jp/ir/highlight/

 

インフォネット

インフォネットの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
1億円 -0.37億円 -0.25億円 22億円 74億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額30億円に対して、直近決算(2020年6月30日)で74億円の現金を保有
  • Webサイトの構築・運営がメイン業域
  • Webサイトをデータベースを基に自動最適化してくれるサービスなどが特徴

 

インフォネット東証マザーズに上場している企業で、顧客ニーズに基づいたWebサイトの構築や運営をメインビジネスとしています。創業は2002年なので、約18年が経過した企業です。

時価総額30億円に対して、直近決算では74億円の現金を持っておりますので、もし今買収すると40億円以上の現金が手に入ることになります。こちらも、今回紹介する企業の中で比較的、多額の現金を手に入れることができる企業です。

現代では無料やきわめて安価でWebページを自力で立ち上げることが可能な時代です。そのような中でも、インフォネットは、顧客ニーズを的確にとらえ、また顧客のビジネス発展に寄与する高品質なWebページの構築を行うことで、着実に収益を計上してきています。

また、顧客訪問情報などのデータを適切にデータベース化したうえで、このデータを基にAIを活用して顧客の知りたい情報が出やすくする機能など、顧客満足度を自動的に高めてくれるWebページ運営を行ってくれる点も特徴的です。この辺りは無料や安価なWebページサービスと比較して、大きく差別化要因になります。

こうしたAIも活用した独自の強みを活かすことで、毎年8億円前後の安定的な売上を計上しています。また、経常利益ベースでも純利益ベースでも既に継続的に黒字を計上しております。

自己資本も着実に拡大しており、「黒字で余剰資金を増やすことで企業規模を成長させる」という理想的な状態となっております。

参照:https://www.e-infonet.jp/ir/highlight.html

 

IPS

IPSの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
27億円 -0.50億円 -0.30億円 22億円 33億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額20億円に対して、直近決算(2020年6月)時点で33億円の現金を保有
  • 国内外で多様な法人向け通信関連ビジネスを展開
  • フィリピンの国内通信事業や、通話の秒単位の課金システムなど独自性の高い業域

 

IPS(アイ・ピー・エス)は東証ジャスダックに上場している企業で、通信ネットワーク関連の多様なサービスを展開しております。創業は1991年ですので、まもなく30周年を迎えます。時価総額は20億円に対し、33億円の現金を保有しておりますので、買収によって13億円もの現金が手に入る計算になります。

IPSのビジネスは確かに一口で言えば通信事業になるのですが、法人向けに特化しており、大手の電話会社、携帯キャリアとは異なる一風変わったビジネスポートフォリオを持っております。

例えば国内向けには、本来数十秒単位もしくは分単位で課金されるのが一般的な通話料金を秒単位で課金するシステムや、コールセンターの導入ソフトウエアの提供、格安スマホの展開に必要なMVNOという事業向けのサービス、クラウドサービスの仲介等、独自性の高い多様なサービスを提供しています。

海外向けにもさまざまなサービスを提供しているのですがその中でも特筆すべきは、フィリピンの光インターネットサービスです。マニラを中心に国内の法人向けインターネット通信サービスを提供しております。

これはただ独自性が高いというだけではなく、フィリピンはインターネット通信が東南アジアの中でも劣位にあるといわれております。一方、新興国ではテクノロジーの発達が著しく、フィリピンでも高速回線の利用ニーズは高まっております。IPSのフィリピンビジネスはこうしたニーズを捉えたものといえます。

尚、フィリピンでは国内インターネット回線だけでなく、主にフィリピンのケーブルテレビ業者向けのフィリピン・香港・北米間のネットワーク構築にも携わっております。

国内でも通信需要がすぐに衰退するわけではないですが、人口が減少している以上、大きな成長は見込みにくいので、そのような中で、このように新興国、それもインターネット後進国の商圏を持っているというのは非常に心強い材料と言えます。

このように多様かつ独自のビジネス展開が奏功し、近年は増収増益が継続している安定成長企業です。

参照:https://ipsism.co.jp

 

独自性の強い製造業

小さい企業で現金保有が多いというと、設備投資が相対的に少なくて済む傾向のあるサービス関連やIT関連の企業が多いイメージがありましたが、意外にも製造業にも現金を多く保有する企業が散見されました。

そもそも時価総額30億円以下の企業に絞っているため、大規模な工場を必要とする重厚長大系の産業はなく、精密機械やその部品といった、中小型で付加価値の高い製品を生産する企業が並びました。

他のセクションより創業から年数が経っている企業が散見されたことも、このセクションの特徴です。ニッチで独自性の強い製品を高い品質で生産することで、自分得意とするビジネスを守りながら長期間経営を継続してきた企業です。

 

松尾電機

松尾電機の足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
8億円 0.40億円 -0.21億円 7億円 11億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額7億円に対し直近決算(2020年6月)で11億円の現金を保有
  • 自動車や電子機器製品向けのコンデンサを製造
  • 規模は大きくないが創業70年が経過した老舗

 

松尾電機は大阪に本社を置き、電子部品の製造を主とする、東証二部上場企業です。時価総額は7億円強である一方、現金を11億円以上保有しております。

電子部品のなかでも、自動車やPC、ディスプレーなど電気製品に使用されるコンデンサや回路等の製造を行っております。会社の規模は大きくありませんが、これらの製品を生産する上では欠かせない部品であることから、日本の製造業の重要な役割を担っているといえます。

ちなみにコンデンサとは、電気製品において機械に流れる電圧を調整し、安定化させるための部品です。電気製品が正常に稼働し、かつ長持ちさせるために重要な部品であると言えます。

比較的な安価なコンデンサもあるにはあるのですが、精密機械や高価な機械においてはコンデンサにも高い安定性が求められます。

その点、松尾電機は高品質なコンデンサを生産している企業となっております。特に、「タンタルコンデンサ」という製品の一部はJAXAから認定を受けており、日本の宇宙開発にかかる機器にも使用されております。

また、7億円という時価総額からは意外な印象を受けますが、創業は1949年であり実に70年以上が経過している、電子関連の製造業としては老舗企業でもあります。また今回紹介する企業群の中でも最も古い企業です。

一方で、業績をみてみると、近年赤字が継続しており心配な面もあります。国内製造業に対する依存が高い企業であることから、PCなどの電子機器は近年米国や新興国の台頭が著しく、日本企業は苦境に立たされていることや、日本企業でも生産拠点の海外移転が進んでいることなどが、経営不振の背景となっております。技術の独自性や水準は高いようなので、是非需要先を見つけて発展してほしい企業でもあります。

このように、時価総額が現金保有額より小さい企業の中には、経営面で不安を抱えている企業である場合もあるという点は注意が必要です。

参照:https://www.ncc-matsuo.co.jp/ir/ir_library/earnings/

 

ジーダット

ジーダットの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
9億円 0.74億円 0.48億円 7億円 11億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/9/30時点

 

  • 時価総額26億円に対し、直近決算(2020年9月)時点で28億円の現金を保有
  • 電子機器の回路設計ソフトウエアや半導体開発などがメインビジネス
  • 国内外の大手電機製造メーカとも取引を有する

 

ジーダットはジャスダックに上場している企業で、電子回路製造のためのソフトウエア開発という独自性の強いビジネスを展開しております。時価総額26億円に対し、28億円の現金を有しており、こちらも保有現金が時価総額を上回る企業です。また、同決算時点で自己資本比率が83%に達しており、財務状況も非常に健全な状況です。

電子機器の製造の効率化や精緻化を可能とする、回路設計用のソフトウエアの開発や販売を行っております。電子製品の部品製造を行う企業は珍しくありませんが、ジーダットのように部品製造をサポートすることに特化したソフトウエアを開発するというのは珍しく、競合が少ない分ビジネス環境としては良好と言えます。

創業は2003年ですから、ハイブリッド車や携帯電話などの情報端末の普及が進展することによるビジネスチャンスを追い風に創業・成長してきた企業と言えます。

また、ハイブリッド車から電気自動車への転換が進む中で、電子部品の占める割合が高くなってきている自動車の部品開発ソフトウエアへの展開も行っている点も将来有望と言えます。

ジーダットのソフトウエアを活用することにより、メーカー各社は精密機械をより高品質で、効率的に生産することができるようになりますので、精密機械の普及や需給の安定という観点から、社会的な役割も大きいです。

この有用性は大手企業にも浸透しております。実際のところ、ジーダットは、国内では京セラ、日産自動車、キャノンなど有名電子機器や、自動車製造企業を取引先としていることはもちろん、海外取引先でもサムスン、LGなどの大手製造業との取引を行っております。

電子機器市場において日本企業は近年、新興国企業などに後れを取っておりますが、ジーダットは海外取引先を確保することで、製造業の衰退リスクを上手く回避しています。

参照:http://www.jedat.co.jp

 

小田原機器

小田原機器の足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
23億円 -0.45億円 -0.79億円 18億円 26億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額18億円に対して、直近決算(2020年6月)で26億円の現金を保有
  • バスを中心とした料金収受システムに特化した製造業
  • 日本のバス路線の減少はリスクも、キャッシュレスなどへの対応が奏功し業績は安定

 

小田原機器は東証ジャスダックに上場している企業で、路線バスやワンマン鉄道などの料金収受システムをメインビジネスとしている製造業です。

時価総額は足元約18億円であるのに対し、現金は26億円保有しており、この企業を買収すると8億円程度の現金が手に入る計算となります。

小田原機器の特徴は何と言っても、ニッチなバスの料金収受システムに特化したビジネス形態です。路線バスには欠かせない機材である一方、このシステムを取り扱う企業は限られており、ニッチな市場で活躍する企業と言えます。

小田原機器の歴史は長く、1950年創業ですので、2020年がちょうど70周年の節目の年となっております。先ほどの松尾電機に1年差で続く、今回の記事2番目の老舗企業です。当時はまだバス車掌が乗務していた時代なので、バスの現金収受について機械化の黎明期から支えている企業です。

バス業界自体は日本の人口が減少している以上、決して順風満帆とは言えず、特に人口の希薄な地方などを中心にバス路線は減少傾向になっております。これは間接的に小田原機器にとってもネガティブな材料と言えます。

しかしながら、小田原機器はキャッシュレス化やICカードによる決済の普及による機材の更新ニーズをうまくとらえることで、バス路線自体は近年伸び悩んでいるにもかかわらず、業績は安定しております。

2019年には黒字計上を背景に大幅な自己資本の積み増しにも成功しており、2020年6破月時点で自己資本比率は70%を超えております。

人口減少というリスク要因はあるものの、長い歴史を持ちながらも、時代の変化を的確にとらえニーズに合った製品を開発することのできる先進性が小田原機器の強みとなっております。

参照:https://www.odawarakiki.com/

 

リサイクル関連企業

最後のセクションでは、リサイクル関連の企業を二つほど紹介します。こちらも大枠で言えば製品を生産するので製造業となりますが、いずれも廃材を原料として生産しているリサイクル企業である点が特徴です。

リサイクルを始めとした地球環境の保護は近年世界的にも意識が高まっております。そうした観点から、これから紹介する企業についても今後注目度や評価が高まることが期待できます。

また、ただリサイクル製品を生産しているから良い、というわけではなく、双方の企業とも生産される製品自体の品質でも非常に高い評価を得ているという点もポイントです。

 

東京ボード工業

東京ボード工業の足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
17億円 -8億円 -8億円 18億円 38億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額18億円に対して、直近決算(2020年6月)時点で38億円の現金を保有
  • 木材廃棄物のリサイクルによる建材生産が主要ビジネス
  • 環境改善に注目が集まる中では有望市場といえる

 

東京ボード工業は東証二部に上場している、木材リサイクルによる建材の生産を主要ビジネスとしている企業です。時価総額18億円に対して保有現金が38億円ですので、買収すると20億円もの現金が手に入る計算となります。

木材の廃棄物をほぼ100%リサイクルし、かつ耐震性や取扱いのしやすさ等から付加価値の高い建材を生産している企業です。リサイクル率や生産される建材の質の高さがこの企業の強みとなっております。

足元はやや自己資本比率が低めではありますが、地震の多い日本では建築物の耐震性は厳しく評価されるとともに、施工者も良質なものを求める傾向にあるため、耐震強度に強みを持つ建材の需要は底堅いといえます。加えて、この建材は建築時の工法を簡略化できるため、大工人材不足に悩む施工業者にとっても優位性のある製品です。

災害リスクの高さ、大工現場の人員不足はどちらも日本の社会問題ですが、東京ボード工業はリサイクルによる環境保護と、こうしたに日本の社会問題の改善において重要な役割を果たしているといえます。

また、近年は環境配慮への感度が非常に高まっていることから、木材廃棄物をリサイクルしており、かつ木材を100%リサイクルしているという点は、社会からも高い評価を受けるポイントとなっております。

参照:https://www.t-b-i.co.jp/

 

ケイティケイ


ケイティケイの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
167億円 3億円 2億円 18億円 27億円

時価総額は2020/11/5時点、他の情報は2020/8/31時点

 

  • 時価総額18億円に対し、直近決算(2020年8月)で27億円の現金を保有
  • リサイクルトナーの製造・販売をメインビジネスとしている
  • 地球環境の保護に寄与しながら製品品質でも高い評価を獲得

 

ケイティケイは東証ジャスダックに上場しておりますが、名古屋に本社を構える企業です。カートリッジを再利用・充填して販売するリサイクルトナーの販売を主要ビジネスとしております。

以前はPCのプリンタなどに使用されるトナーカートリッジは使用後に廃棄されており、プラスチックごみの発生が課題となっておりました。PCが普及する中でこの使用済みカートリッジの廃棄量は急速に拡大していったのでした。

ケイティケイはそこに目を付けて使用済みカートリッジを回収、トナーインクを再充填したうえで販売する、というビジネスを開始しました。

ケイティケイはこうしたビジネスモデルが地球環境の保護に寄与しているということで高い評価を受けております。また、製品についても高い品質を維持しており、世界唯一の再生トナーの世界標準規格であるSTMCを満たし、またトナーの信頼の証であるE&Pマークを取得しております。

こうした規格の順守や認証の取得を背景にケイティケイの製品は安定した需要を獲得しております。売上高は近年一貫して10億円台後半を維持している一方、コスト削減や効率化により、ここ5年ほどは経常ベースでも最終損益ベースでも増益を継続しております。

先の企業と同様に、リサイクル業界は近年環境保護に対する意識が高まっている中で、ケイティケイは将来性のある企業であるといえます。

参照:https://www.ktk.gr.jp

 

まとめ

この記事では時価総額より保有現金残高が多い企業のうち、比較的規模の小さい30億円以下の上場企業を紹介しました。

一口に現金の多い上場企業と言ってもセクターやおかれている事業環境は様々でした。いわゆるベンチャーのような新興企業もあれば、地方企業や老舗企業、はたまた小さいながらも独自性の強い強みを持っている企業もありました。

今回紹介した企業をもしいますぐ買収できれば、即座に買収にかかる金額以上の現金を手にに入れることができます。

ただし、企業をまたすぐに売却してしまう、ということが現実的ではない以上、企業自体が傾いてしまえば将来は損失になってしまうリスクがあるということにも留意が必要です。今回はそうしたリスクも踏まえ、敢えて「現金は多く保有しているが、やや業績が思わしくない企業」についても一部紹介しました。

その意味では、現金保有が多くかつ、業績や将来性の観点からも有望な企業こそが、本当にお買い得な企業と言えるかもしれません。

 

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