【投資家向け】実質0円で上場企業が買える?時価総額と現金残高が矛盾してる会社11選(30億〜50億)

さて、以前の記事で時価総額が1億円~30億円で、「実質0円で買うことができる上場企業」を紹介しました。時価総額より企業が保有している現金の方が多いというのは不思議ですが、中にはそのような企業も実在します。こうした企業を買収した場合、実質的に0円以下で上場企業が買収できるということになります。

今回は少し規模を大きくして、30億円~50億円の範囲で、実質0円で買える上場企業を11社紹介します。

調べる企業の規模を少し大きくしただけで、該当する企業の特徴が大きく変わる点に注目です。

自動車の部品製造業

最初は日本の経済成長を支えた産業である自動車産業をなす企業です。数万ともいわれる部品から構成される自動車は全ての部品を一つの企業で製造することは到底不可能です。

したがって、大手の自動車会社は傘下、もしくは取引先に部品を製造する企業を抱えております。その部品製造の会社もまた、傘下や取引先として、部品に使用する細かいパーツを製造する企業を有していることが多いです。

このような形で企業の関係性をつないでいくと、トヨタ、日産など大手自動車メーカーを筆頭にピラミッド状の構造を形成します。これが、自動車産業の特徴です。

今回はそんな自動車産業のピラミッドの一角をなす部品製造メーカーのなかから、実質ゼロ円で買える上場企業を紹介します。

 

GMB

GMBの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
252億円 -9億円 -5億円 32億円 56億円

※時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

 

  • 時価総額32億円に対して、直近決算(2020年9月)56億円の現金を保有
  • 自動車部品の製造会社で、メイン取引先はトヨタ系のジェイテクト
  • 売上高は近年伸び悩み傾向も、自己資本は厚い

 

GMBは、自動車部品の製造業で、何と東証一部の上場企業です。時価総額32億円に対して、56億円の現金を保有しておりますので、もしいま買収すると24億円もの現金を手に入れることができるという計算となります。

 GMBの情報を調べていてまず目についたのは、企業の規模自体は比較的大きいというところです。時価総額はさきほど紹介した通り32億円にとどまりますが、企業の財務諸表から読み取れる総資産は約600億円に迫る規模になっています。このような財務状況になっている背景も調べてみました。

 まず、ビジネス内容の紹介をしますと、GMBは自動車部品の製造会社です。メインの取引先はジェイテクトとなっておりますが、ジェイテクトはいわゆるトヨタ系の企業ですので、例外的な取引はあるものの、GMBは概してトヨタの産業ピラミッドの一角をなしているようです。

 さて、そんなGMBですが、主に駆動系、つまりエンジンの力を、車を動かす力に変えるための部分の部品製造を担っております。例えば、ギアチェンジに必要なトランスミッション、エンジンのポンプやハンドルが正常に作動するために必要なステアリングパーツといった部品です。

これらはいずれも自動車を動かすために必要な部品です。しかも自動車最大手のトヨタの傘下ということで経営状況は盤石、と思いきや、近年売上高は緩やかな縮小が続いており、直近の年度決算(2020年3月)はついに最終赤字を計上しております。株価についても2018年を境に低迷が続いており、これが時価総額を引き下げているため、企業規模に比して時価総額が小さいという状況になっています。

 背景にはそもそもの業績低迷に加え、足元の新型コロナウイルスによる自動車業界の不調、そして自動車がハイブリッドや電気自動車に代わることによる売り上げ低下リスクなどが意識されています。自動車からガソリンエンジンがなくなってしまえば、GMBには少なからずマイナスの影響があることが懸念されます。

 但し、GMBはステアリングなど、電気自動車に代わっても必要な部品も生産しておりますので、ビジネス全部がなくなってしまうわけではありませんので、業績悪化はある程度のところで食い止められるでしょう。企業規模が大きい分資本の厚みも充分あるので、多少の業績悪化はあっても、倒産リスクが意識されるほど追い込まれる心配は現状ありません。また、上記の逆風要因のうち、新型コロナウイルスによる影響は今後改善に向かうと想定されます。このように悪材料が織り込まれ、状況が改善して行くに従い、株価・時価総額が上向いてくる可能性も考えられます。

参照:https://www.gmb.jp/

 

ユニバンス

ユニバンスの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
170億円 -24億円 -27億円 46億円 53億円

※時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

  • 時価総額46億円に対し、直近決算(2020年9月末)で53億円の現金を保有
  • いわゆる自動車部品製造の企業で、こちらは日産系
  • 地元との交流を重視する企業で、ニュースにはローカルイベントが並ぶ

 

続いて紹介するユニバンスですが、こちらは東証2部に上場している自動車部品の製造企業です。静岡県湖西市に本拠地を構えています。時価総額46億円に対し、53億円の現金を保有しておりますため、いまもし買収すると7億円の現金が手に入る計算となります。

こちらも先ほど出てきたGMBと同じく自動車部品の製造企業です。複数の企業に販売しているものの、約40%が日産向けであることから、基本的には日産系の産業ピラミッドの中にある企業であると言えます。また、直接の取引先に日産を筆頭に大手の自動車製造業が並ぶことから、GMBと比べると最終製品に近い、大型の部品を製造する企業ということができます。

製品を見てみると、トランスミッション(変速)にかかる部品の全体を組み上げるなど、大型の部品生産を行っている点が特徴です。また、もう一つ特徴的なのは、電気自動車やハイブリッド自動車用の変速機も主要ラインナップに並んでいることから、自動車がガソリンエンジンから進化していく流れに上手く乗っている企業であると言えます。

しかしながら、足元の業績は芳しくありません。特に直近の四半期の売上高が前年と比較して40%も落ち込んでいるのは、いくら新型コロナウイルスの影響があるとは言えすこし心配な水準です。上流取引先の日産も足元巨額の赤字を出しているなど、不調が続いておりますので、そのあおりを受けていると考えられます。

ただし、ガソリンエンジン、ハイブリッド、電気自動車いずれに対しても自動車を成す上で欠かせない部品製造をできるのは大きな強みです。海外企業を含めて日産自動車以外にも多数の取引先を有してもいるので、今後は独自の強みを生かしながら徐々に回復していくものと期待できます。

また、ユニバンスのもう一つの特徴として、地域交流が活発であることが挙げられます。企業HPのニュースをみると、高校生向けの交流イベントや、街の花壇整備イベントなど、本社を有する湖西市の地域住民との交流を積極的に行っていることが伺えます。こうした活動も企業が地元と密着して安定的にビジネスを行う上では重要であるといえます。

参照:https://www.uvc.co.jp/investor/settlement/20200807-1.html

 

金属バリューチェーン

自動車の次は金属関連の企業を紹介したいと思います。たまたまではあるのですが、鉄を原料にさびにくい加工を行って作られる「ステンレス鋼」の関わる企業が二つ該当しました。

鉄自体を精製する企業となるとかなり大規模な設備が必要であることから、日本を代表するような巨大企業であることが多いですが、鉄をステンレス加工する企業はそれより小規模でも運営可能なようです。

また、今回は、自身ではステンレスの生産をあまり行わず、ステンレスの卸を専門的に行う専門商社も該当しました。同じステンレスを扱いながら、生産サイド、卸サイド両方がこの実質ゼロ円で買える企業に該当したのが印象的でしたので、順に紹介します。

 

日本金属

日本金属の足元の状況

 

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
180億円 -17億円 5億円 43億円 64億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

 

  • 時価総額43億円に対して、直近決算(2020年9月)64億円の現金を保有
  • ステンレス加工をメインビジネスとする製造業
  • 昭和5年、西暦で1930年創業、90年の歴史を持つ企業

 

日本金属はステンレス加工を中心とした金属製品の加工を行う東証一部の上場企業です。時価総額43億円に対して、64億円の現金を保有しておりますので、買収した際には21億円の現金を手に入れることができる計算になります。

 

日本金属は創業が昭和5年、西暦1930年で、2020年でちょうど90周年を迎えた歴史のある企業です。いまでは様々な用途に使用され、一般的にも台所、調理器具などでなじみの深いステンレスですが、創業当時はまだステンレスという金属製品自体が珍しい時代であり、日本金属はステンレスの普及自体に貢献した企業の一つと言えます。

 

また、日本金属のもう一つの特徴として、ステンレスを始めとした金属の圧延、文字通り上から押し付けることで「金属を薄く延ばす工法」について高い技術を有している点が挙げられます。大手の鉄鋼メーカーなどでは対応できない薄く均質なステンレス加工を行う独自の技術を有しております。現在の主要製品も、この金属を延ばす技術を活用した、薄い金属シートなどの製品となっております。

 

さてこのように独自かつ高い技術を有している日本金属ですが、足元は業績が不調であることにより、株価が低迷し、結果として時価総額が小さくなっているようです。2020年度の決算は赤字となりましたし、2021年度も最初の半年は新型コロナウイルスの影響もあり、業績の悪化が続いております。

 

但し、金属加工の技術自体は高く、他社ではなかなか真似できないものであるため、経済自体が復調し、金属の需要が上向けば日本金属の業績も復調が期待できそうです。その可能性を察知しているのか、足元2~3か月のところでは株価も回復し始めております。もし、このまま株価の回復が本格化すれば、もちろんのこと時価総額も拡大していくでしょう。

参照:https://www.nipponkinzoku.co.jp/investor-relations

UEX

UEXの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
239億円 2億円 0.56億円 41億円 43億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

  • 時価総額41億円に対し直近決算(2020年9月)時点で43億円の現金を保有
  • ステンレス鋼を生産企業から仕入れ、需要企業に販売する専門商社
  • 半世紀以上の歴史の中で川上〜川下の強固なネットワークを構築

UEXは東証ジャスダックに上場している企業ですが、時価総額41億円に対して、43億円の現金を保有しているため、買収した場合には2億円程度の現金が手に入る計算です。

UEXはステンレスを扱っている企業ですが、さきほどの日本金属とは異なり、こちらは製造はあくまでサブビジネスにすぎません。ステンレス鋼の生産者と需要者をつなぐ、専門商社をメインビジネスとしております。そのなかで、一部の加工や、製造に限り、子会社の製造工場を活用する場合もある、という状態です。

全国に拠点を構えることで、ステンレスの安定供給と販売を長年継続して行うことで信頼を勝ち取っている企業です。強固なリレーションの元、全国の多様な生産者、需要者同士のニーズにあった形でビジネスを繋ぐことでステンレス鋼の受給の安定に貢献している企業です。

ステンレス鋼の専門商社の数は少なく、またUEXはその中でも長い歴史と大きな規模を有している企業ですので、経営も安定しております。2019年までは売上高の拡大が続いておりましたし、2020年も最初の半年は、多くの中小企業が苦しむ中黒字ペースで折り返しております。今後もステンレス鋼における独自のネットワークを活かし、安定的に成長していくことが期待できる企業と言えます。

参照:https://www.uex-ltd.co.jp/ir/library/brief/

 

運輸ネットワーク

先の自動車や金属は日本の近現代までの発展に欠かせない産業でしたが、次も日本の発展に深く根付いた運送関連の企業です。

島国日本は、四方を海で囲まれていることから、特に昔から海運業が発展していきました。昭和中ごろからは「モーダルシフト」と呼ばれるように、トラックなどでの陸運の重要性が高まったわけですが、尚も海外との貿易には海運が欠かせなかったことから、モーダルシフトの中でも海運対陸運、ではなく「海運・陸運の連携」が重要課題となりました。

ここではそんな海運業の発展に長年貢献してきた「実質ゼロ円で買える企業」を紹介します。

 

栗林商船

栗林運輸の足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
99億円 -4億円 -1億円 42億円 83億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/6/30時点

  • 時価総額42億円に対して、直近決算で(2020年6月)で83億円の現金を保有
  • 北海道の室蘭発祥の海運会社が元で、現在も海運業を中心としている
  • 前身の合名会社を含めると120年あまりの歴史を有する老舗企業

栗林運輸は、いわゆる海運業を主とする東証2部上場企業で、時価総額42億円に対して、直近決算で83億円の現金を保有していることから、もし今買収した場合、41億円の現金を手に入れることができるという計算になります。

栗林商船は黎明期には船の建造も行なっていたようですが、現在は海運を軸とした運輸企業です。現在は東京に本社を構えますが、前身の合名会社は北海道の室蘭で創業されており、いまでも北海道の海運においては重要な位置を占めております。

全身の合名会社「室蘭運輸合名会社」の創業は明治27年。西暦にすると1894年ですので、すでに120年以上が経過している企業ということになります。1894年はなんと日清戦争が起こった年ですが、その当時からずっと経営を継続している企業ということになります。

その長い歴史の中ではRORO船と呼ばれる巻き紙の輸送船を日本で初めて取り入れた企業で、これにより雨天時の巻き紙の大量輸送が可能となりました。今は様々事業を多角化しているものの、現在でも、RORO船運航は栗林運輸の重要なビジネスとなっております。

また、多角化に積極的な企業である点も特徴的です。海上運輸のみ出の発展に限界を感じ、また一方で自動車での輸送に切りかわっていく「モーダルシフト」の波をとらえ、陸上トラック輸送も行なっております。そのほか、倉庫や客船輸送、ホテルビジネスも行っています。

近年の売上高は昨年までは安定しており、着実に利益も出していました。新型コロナにより今年の業績が落ち込むのはやむをえないとして、今後もRORO船による独自の輸送技術や、海運と陸運を一体運用することによるコスト優位などを活かして、永く発展していくことが期待されます。

参照
https://www.kuribayashishosen.com/ir/library.html

 

アサガミ

アサガミの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
145億円 -12億円 -7億円 50億円 54億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

  • 時価総額は約50億円。対して直近決算(2020年9月)では54億円の現金を保有
  • 港湾運送業と呼ばれる、港での物流を担う企業
  • 黎明期には東急電鉄が出資していた実績

続いて紹介するのはアサガミという東証二部に上場している企業です。主要ビジネスは港湾運送業と呼ばれるもので、港にて荷物の積み込み・荷下ろしを行うことで、船による海運と、鉄道・トラックなどによる陸運を繋ぐ役割を果たしております。

時価総額は約50億円ありますので、今回の記事では最も時価総額が大きな企業ということになります。現金は54億円ほど保有しており、買収すれば4億円の現金を手に入れることができます。総資産は500億円規模の企業ですので、株が下落したことにより時価総額が小さくなっている企業でもあります。

創業は大正7年、西暦1918年は第一次世界大戦の終結の年です。こちらも歴史のある企業ですが、東京港湾の物流を担っており、首都・東京を古くから現在の大都市に至るまで支えてきた企業であると言えます。

港湾物流というのは、普段意識することは少ないですが、海運と陸運をスムーズにつなぐ重要な存在です。特に日本は資源の少ない島国で、対海外の輸出入に依存している部分も大きいため、ことさらに港湾物流の重要性は高いと言えます。

かつてその重要性を認識していたのが私鉄大手の東京急行電鉄でした。東急は日本の黎明期の物流機能を発展させるために、昭和前期からしばらくの期間アサガミの前身企業の一つ「双栄運輸」に出資しておりました。

近年は港湾での輸送に加え、港湾周辺の倉庫サービスを発展させています。港湾に倉庫があれば、そこで在庫品をプールすることでより効率的に商品の運送を送ることができるようになることから、この倉庫サービスもニーズの高いビジネスとなっております。

港湾での運送と倉庫サービスが現在のアサガミのメインビジネスとなっております。先にでも紹介した通り、島国で資源が限られている日本では海運とそれに付随する港湾運送は今後も重要性の高いインフラです。海運は景気変動による影響が大きいビジネスであるということから、一時的な業績悪化などには注意が必要ですが、長い目で見れば今後も安定したビジネスニーズを有する企業であると言えます。

参照
https://www.asagami.co.jp/

 

際立った独自の強みをもつ企業

独自性の強い高い技術を持った企業が多いというのは日本の製造業の一つの特徴です。この30億円~50億円の規模になってくると、そうした独自技術を守りながら長い間事業を継続してきた企業が目立ちます。

 

独自の強みを持つ中堅企業が、意外にも日本の産業や経済に重要や役割を果たしているという事例もめずらしくありません。このセクションでは、そのような長年にわたり、日本の産業発展や人々の暮らしを支えてきた、実質ゼロ円で買える企業を紹介します。

 

尾張精機

尾張精機の足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
26億円 -3億円 -2億円 30億円 40億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/6/30時点

  • 時価総額30億円に対して、直近決算(2020年6月)で40億円の現金を保有
  • ネジや精密鍛造品という高い精度が要求される部品を生産
  • 創業明治39年・1906年で間も無く創業120年

尾張精機やその名前にも現れているように名古屋に本拠地を構え、名証二部に上場している企業です。誤差の許容度が小さい正確な技術が要求される金属製品を作っております。例えばネジや、金具と言った部品で、現在では自動車や航空機など大きくても精密性が要求される機材や、時計などの精密機械に利用されています。

創業は明治39年でありこちらもかなり歴史の長い企業です。まもなく創業120年を迎えるというところで、1906年は今度は日露戦争が集結した直後という時期です。当時は時計に使用される細かい金具や歯車を生産し、海外に輸出しておりました。

乗り物が近代化するに従い、次第に自動車や航空機などの大型かつ精密性の要求される機械の部品の生産を拡大していきました。現在は特に航空機部品がメインビジネスとなっております。

こうした機械の使用にも耐える精密な部品を大量生産できることが、尾張精機の大きな強みとなり、長い間安定的に経営を継続してきた原動力となっております。足元は、2020年こそ減収となったものの、2016〜2019年は着実に売り上げを伸ばしてきており、現代においても充分競争力を有する企業であることが伺えます。

また、取引先を見ると、約1/3が海外向けとなっております。日本国内は内需の減退リスクも背景に製造業全体として伸び悩むことが懸念されますが、尾張精機は積極的に海外進出を行うことにより、安定的な成長を実現しております。

参照:https://www.owariseiki.co.jp/ir/#link6

土屋ホールディングス

土屋ホールディングスの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
180億円 -13億円 -13億円 33億円 49億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/7/31時点

  • 時価総額33億円に対し、直近決算(2020年7月)時点で49億円の現金を保有
  • 北海道を中心とする住宅メーカーで、不動産業なども行う
  • スキージャンプのチームを持っており、冬季五輪7度の出場を誇る「レジェンド」葛西選手が所属

土屋ホールディングスは、土屋ホームが主要企業となっている東証二部上場の持ち株会社です。時価総額33億円に対し、直近決算では49億円の現金を保有しているため、もし今買収したら16億円もの現金が手に入る計算になります。

土屋ホールディングスの主要ビジネスは住宅の建築で、傘下の「土屋ホーム」は北海道ではテレビCMも流れる、地元では知名度の高い企業です。北海道では50年ほどの歴史を持つ企業であり、寒冷地に対応しながら、長く永く快適に住める家づくりを重視しています。

また、北海道の広い土地を活かして高品質な住宅を提供する高級ブランド「カーディナルハウス」は、北海道では数少ない高級志向の住宅ラインナップとして高い評価を得ています。

メインビジネスは注文を受けて建てられる住宅建築ですが、近年では、不動産仲介業もおこなっております。場合によっては土地選びから土屋ホームに一任して進めていくことも可能ということになります。

さて、もともとは「北海道で」有名であった企業ですが、近年は全国区での知名度も以前よりは向上しております。土屋ホールディングスは地元が北海道とあって、スキーのチームを持っていることもその特徴の一つです。特にスキージャンプの部門では、7度のオリンピック出場や、日本史上最年長でのワールドカップ出場などを果たしている「レジェンド」葛西紀明選手が所属しております。葛西選手については一時はキー局のテレビにも出演しておりましたので、その時に合わせて所属チームがクローズアップされたこともありました。

参照:https://www.tsuchiya.co.jp/ir/cate1/

 

丸尾カルシウム

丸尾カルシウムの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
25億円 -0.28億円 -0.01億円 30億円 33億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/6/30時点

  • 時価総額30億円に対して、直近決算(2020年6月)で33億円の現金を保有
  • 顔料に始まり、現在は炭酸カルシウムを得意とする化学メーカー
  • 合成樹脂、塗料、食品添加物まで幅広い製品を生産している

丸尾カルシウムは東証二部に上場している化学メーカーで、時価総額30億円に対して直近決算時点で33億円の現金を保有しております。

創業は大正15年で、今度は第一次世界大戦と第二次世界対戦の間の時期になります。この時期は顔料・塗料といった製品を主に販売しておりましたが、昭和初期に炭酸カルシウムの製造に着手し、その後、こちらの方がメインビジネスに遷移した行きました。

現在は「炭酸カルシウムを活用する」ということが軸になっているため、生産している製品についてはかなり幅広くなっていることが丸尾カルシウムの特徴です。接着剤、ゴムや樹脂、塗料、食品添加物といったさまざまな化学製品が並んでおり、素人ではなぜこのような多様な製品を生産しているのか一見ではわからないほどです。背景にはいずれも「炭酸カルシウム」と活用しているという軸があるということです。

こうした企業なので、強みも専門性のある方でないと理解しにくい領域なのですが、「炭酸カルシウムを液体の中に均一に安定させる」ことを特に強みにしています。炭酸カルシウムは工夫をしなければ一般的には液体の中で沈殿してしまいますが、丸尾カルシウムはそれを高いレベルで防ぐ技術を有しているということです。

そんな丸尾カルシウムは「炭酸カルシウム」を活用する製品であれば柔軟に開発していけることが強みとなっております。今後も時代の移り変わりとともに必要とされる素材は変わっていくでしょうが、そのなかでも時代の変化を捉えてビジネスを継続・発展させていくポテンシャルを持った企業であるといえます。

尚、丸尾カルシウムの製品の需要は、物によって凹凸あるものの、トータルで見れば安定しているようで、丸尾カルシウムは新型コロナウイルスの影響があった2020年3月期を含めてしっかり黒字を確保しています

参照:https://www.maruo-cal.co.jp/html/ir_lib.html

 

ジオマテック

ジオマテックの足元の状況

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
29億円 -2億円 -4億円 40億円 72億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/9/30時点

  • 時価総額40億円に対して、直近決算(2020年9月)では72億円の現金を保有
  • 高機能薄膜と呼ばれる膜製品を製造する製造業
  • スマホなどの液晶画面には欠かせない素材を生産

ジオマテックは東証ジャスダックに上場している企業で、時価総額40億円に対して72億円の現金を保有しております。もし買収した場合には30億円以上の多額の現金が手に入る計算になります。

ジオマテックは独自の技術を強みにして発展した企業です。具体的には「高機能薄膜」と呼ばれる、何らかの効果を有しながら、均質で極めて薄い膜を作ることができる点が特徴です。この業界を正確に市場分析した資料がないため明確ではないものの、ジオマテックの企業HPには「リーディングカンパニー」という記載もあり、極めて独自性の高い膜を作ることができる企業のようです。

続いて「高機能薄膜」の「高機能」については専門家でなければピンとこないものかと思います。そこで一つ例をあげますと、スマートフォンなどのタッチパネルの表面に使用される膜の製造において、ジオマテックは高い競争力を有しております。

この画面に張られる薄い膜はディスプレーを保護したり、タッチパネルが適正に作用することが求められるわけですが、特に、タッチした部分に適切に電気を通す機能が備わっていることが必要となります。この場合は「ただ薄いだけではなく電気を通すことができる」という点が「高機能薄膜」ということになります。

ジオマテックの薄膜技術は、ただいま挙げられたスマートフォンの例にもあるように、最新の精密機械などにも欠かせない製品です。「高機能」の機能性については変化していくものの、今後も薄膜の需要は常に発生すると期待されます。ジオマテックのように均質で薄く、かつ適切に機能を備えた膜を形成する技術を有する企業はなかなかありませんので、その点でジオマテックは高い将来性のある企業であると言えます。

参照:https://www.geomatec.co.jp/

 

靜甲

靜甲(せいこう)の足元の状況

 

売上 営業利益 純利益 時価総額 現金及び預金
63億円 -0.04億円 -0.65億円 34億円 59億円

時価総額は2020/11/12時点、他の情報は2020/6/30時点

 

  • 時価総額34億円に対して、直近決算(2020年6月)59億円の現金を保有
  • 包装機械と精密部品の製造をメインビジネスとする製造業
  • 日本リーグにも出場する本格的な女子ソフトボール部を有する

 

靜甲(せいこう)は静岡に本社を構える包装機械のメーカーで、東証ジャスダックに上場しております。時価総額34億円に対して、59億円の現金を保有しておりますので、買収すると25億円もの現金を手に入れることができます。

 

「包装機械」というのはあまりなじみがないかもしれませんが、食品や化粧品、薬品などを、ペットボトルや瓶、チューブなどさまざまな容器に内容物を詰めたり、袋づめにしたりする機械のことです。大量生産を可能にするために、高速で正確な包装を自動で行うことを可能にしております。

 

この包装機械は、内容物の充填や袋詰めを如何にミスなく高速にこなすことができるかがカギなので、機械の製造には高度な精密性が要求されます。靜甲(せいこう)は熟練の技術や経験と時代のニーズにマッチした機械を考案するセンスを組み合わせて、精密性の高い機械を受注生産しています。

 

また、精密機械を作ることを長年継続することで培ったノウハウを活用して、精密機械に使用される部品の製造もおこなっております。自動車や大型精密機械などに使用されるねじやナットなどの製造を行っております。

 

その他、靜甲(せいこう)の特徴として、女子ソフトボールの活動が活発であることがあげられます。実業団として活動を行っており、全日本のリーグ戦にも出場しております。企業HPのトップ項目にソフトボールのページが表示されており、中ではソフトボール部の全部員のプロフィールが掲載されているなど、企業のコミットの高さがうかがえます。

 

さてそんな靜甲(せいこう)の業績ですが、足元は新型コロナウイルスの影響を受けているとはいえ、2020年3月までの5年間にかけては、業績は決して悪くなく、特に2019年、2020年と順調に増収増益を達成しておりました。製造している機械の独自性も大きく、将来性は充分にあると考えられます。新型コロナウイルスの影響が一巡し、企業が設備投資を積極化するようになれば、靜甲(せいこう)の業績も回復してくることが期待できます。

参考:

http://m.seiko-co.com/ir/ir.html

http://www.seiko-co.com/hoso_product.html

 

まとめ

今回は時価総額30億円~50億円の企業の中で、時価総額より現金保有の方が多い企業を紹介しました。今回は日本が強みとしている独自の高い技術を有する製造業や、物流関連の企業が多かったのが印象的でした。長い歴史を持つ企業が多かったのも特徴的です。

 

長寿で既にビジネス規模が大きくなっている企業がこのように時価総額が低く、現金保有が多くなってしまう背景には、時価総額が企業規模に対して低いことがあります。市場が企業の成長を予想しておらず、株価が割安な水準のまま放置されてしまっていることの表れでもあります。

 

しかし、一見成熟してしまったかに見える企業の中にも、将来性のある強みを持っている企業が複数あることが今回明らかになりました。そうした企業の場合はいずれ成長を再加速させることで株価を押し上げられ、時価総額も拡大していくと考えられます。むしろ実質ゼロ円で割安に買収できるのは今のうち、ということになるかもしれません。

 

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