2020年、機関投資家がビットコインに動いたその理由とは

ニュースのポイント

  1. 今年は、機関投資家のビットコイン参入が注目を集めた
  2. 2020年に起きた3つの変化が機関投資家へ影響を与えたと、FDAのSandler氏は語る
  3. 今後もFDAは「ビットコイン」と「機関投資家」にフォーカスしたサービス展開を進める模様

米Fidelity Digital Assets(FDA)のセールス・マーケティング部門責任者であるChristine Sandler氏が、ポッドキャスト「Unchained」に出演し、2020年に機関投資家の間でビットコインへの関心が急激に高まった理由について解説した。

フィデリティは資産運用業における国際的なリーダーとして、投資家向けに資産運用サービスを提供するアメリカの大手金融機関。暗号資産(仮想通貨)部門としてFDAを設立し、機関投資家向けにデジタル資産のカストディおよび投資実行サービスの提供も行なっている。

仮想通貨業界で機関投資家に最も近い存在であるFDAがビットコイン市場について語る内容は、大変貴重なものである。

Sandler氏が語る、2020年に起きた3つの変化

アメリカに訪れた3つの変化

Sandler氏は、デジタル資産に対する投資家の考えを形成する上で、2020年に起こった以下3つの変化が大きな影響を及ぼしたと指摘。

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大と、米FRBの動きがデジタル資産に対する考え方に大きく影響し、ビッドコイン=デジタルゴールドの概念が浸透した。

米通貨監督庁(OCC)による規制内容の明確化

今年、米通貨監督庁(OCC)が「銀行が顧客のデジタル資産保有を承認する声明」を発表。大きく懸念されていた規制の曖昧さが払拭され、機関投資家の行動を後押しした。

著名投資家のビットコイン投資参入

Paul Tudor JonesやStan Druckenmillerのような著名投資家がビットコインへの投資を発表したことで、ビットコインの信頼が強化された。両名は分散投資の観点から、デジタルゴールドとしてビットコインへの投資を行ったとのこと。

「仮想通貨への初歩的な疑問」が普及における根強い課題

仮想通貨への疑問

仮装通貨の普及を目指す上で「仮想通貨とは何か」「ビットコインは何か」を初心者に説明することが根強い課題だとホストのLaura Shin氏は述べる。FDAはこの難題にどのようにして取り組んでいるのか。

Sandler氏は、投資家に新しい資産クラスへ投資を紹介する際に有効なのは、なるべく相対的な言葉で語り、テクノロジー、エコシステム、規制などの構造的な要素について、伝統的な投資対象との共通点を説明し、理解してもらうことだと述べた。

そして、顧客からの懸念や質問への回答性の高いコンテンツを作り、有益な情報の提供機会を増やすことで、顧客のデジタル資産投資への意見形成に寄与することも重要だと付け加えた。

Sandler氏は、米大手仮想通貨取引所コインベースで機関投資家向けの営業部長を務めた後、2019年にFDAに入社。

FDAは、その系列組織にフィデリティ応用技術センター( Fidelity Center for Applied Technology=FCAT)を有し、FCATでは技術研究のためビットコインのマイニングが行われている。デジタル資産利用のための概念実証を始め、安全な保管や取引方法について、FCATは研究開発部門としての役割を担っているとSandler氏は評価している。

このような知見を基に、FDAは機関投資家特有のニーズ、特に資産のカストディや取引の面において体系的に対応するサービスを提供していると同氏は述べた。

今後のFDAの展望

引用元:BITTIMES

Sandler氏は「今後、個人投資家向けのサービスを提供する可能性があるか」と質問されると、機関投資家向けのサービスへ焦点を合わせることが同社にとって、より重要であるため、その「可能性は低い」と答えた。

イーサリアム関連サービスの提供については、既にFDAのロードマップに記されており、視野には入っているという。またデジタル資産のカストディアンとして、イーサリアムの提供時にはステーキングサービスも行う予定だが、あくまで機関投資家の間ではビットコイン投資が主流であるため、イーサリアム提供に関しては具体的な日程などは決まっていないとのこと。

一方、Sandler氏は、DeFi分野に関しては、「概念実証がリアルタイムで展開されているのを見ることができるのは素晴らしい」と絶賛。しかし、ガバナンスと回復力の面では、まだまだ多くの作業が必要なようであるとの解釈を述べた。

機関投資家
機関投資家とは、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関など、大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家のことをいいます。参考:SMBC日興証券
カストディ
カストディとは「保管」を意味し、有価証券投資の際に、証券の保管、管理を行う業務のこと。カストディ業務を行う機関はカストディアンと呼ばれ、カストディアンの役割は、証券の保管業務だけではなく、元利金や配当金の受領、運用資産の受渡し決済、運用成績の管理等多岐にわたる。特に海外の複数の国の有価証券に関する決済保管業務を一括して取り扱う機関のことをグローバルカストディアンと呼ぶ。参考:みずほ総合研究所
米FRB
FRB(The Federal Reserve Boardの略)は、日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます。連邦準備理事会は、7名の理事から構成されています。FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。参考:SMBC日興証券
デジタルゴールド
ビットコインは数ある暗号資産の中で最も時価総額が高く、暗号資産の代名詞的な存在です。ビットコインには発行総量に上限があり、希少性が高く反インフレの特性があるため、「デジタルゴールド」とも呼ばれています。参考:HEDGE GUIDE
イーサリアム
イーサリアムはヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称です。このプラットフォーム内で使用される仮想通貨をイーサ(英: Ether、単位: ETH )といいます。日本では、プラットフォームを意味するイーサリアムと通貨を意味するイーサをどちらも「イーサリアム」とする表現が普及しています。参考:bitFlyer
ステーキングサービス
ステーキングサービスとは、マイニングの代替え手段と言われているステーキングを提供するサービスのこと。ステーキングは、対象の仮想通貨(暗号資産)を使わずウォレットに入れ、ブロックチェーンのオペレーションに参加すると報酬を得られる仕組みとなっている。参考:Coincheck
DeFi
DeFiとは、金融仲介をディスラプトすることを目的にブロックチェーン上に構築された金融アプリケーションを表す用語だ。主にイーサリアムブロックチェーン上にスマートコントラクト技術を活用して構築されている。参考:Coin Desk Japan

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