日銀が3月の決定会合で、長期金利の誘導策の見直しを議論 長期金利の変動容認論を議論か

ニュースのポイント

  1. 日銀が3月の金融政策決定会合で、長期金利の誘導策の見直しを議論する見通しだ
  2. 現在の狭い金利の変動幅では、金融機関の収益機会が損なわれ、金融緩和の副作用も損なわれる見方が強い
  3. 日銀の政策委員会のメンバーからは、長期金利の一段の変動を容認するべきとの声が出始めている

「金利の変動幅の拡大を認めることは、金融システムの安定に貢献する」

10年国債利回りの推移。0%前後で推移していることがわかる 引用元:bloomberg.co.jp

日銀は3月の金融政策決定会合で、長期金利の誘導策の見直しを議論する見通しだ。操作対象とするイールドカーブの傾斜科を促すことで、マイナス金利による収益悪化に苦しむ金融機関の安定化を図るためだ。

現在は、長期金利が0%を中心にプラスマイナス0.2%の範囲内で動くように国債を買い入れているが、現段階での金利の変動幅は狭く、金融機関の収益機会が損なわれ、金融緩和の副作用も強まるとの見方が強い。結果、日銀の政策委員からは変動幅の拡大を容認するべきだとの声が出始めている。

日銀は、緩和策の柱として短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を2016年9月から続けている。長期金利の変動幅は当初、プラスマイナス0.1%に収まるようにしていたが、18年7月にプラスマイナス0.2%程度に広げた。

29日に公表した1月の決定会合の「主な意見」では、3月に結果公表を予定する政策点検で長期金利の変動幅のさらなる拡大が検討対象になることを示唆する声が目立った。一方、点検を表明した12月会合では、YCC運営について長期金利への直接的な言及はなかった。

決定会合の主な意見では、長期金利の変動を巡る複数の意見が紹介されている。ある委員は長期金利が「上下にある程度の範囲で変動することは金融機関の運用ニーズを満たし、金融システムの安定に資する」と指摘。この意見は、長期金利が上がりやすくなれば期間10年超の超長期金利にも上昇余地が生まれるとの考えだという。金融機関から見ると、国債の運用益を確保しやすくなるとの期待もある。

委員からは「企業・家計の資金調達で長期金利の影響を受けるものの割合は高くない。長期金利が変動しやすくなっても経済活動に与える影響は限定的」との声も出た。SMBC日興証券の丸山義正氏は「長期金利の変動に伴うコストよりもメリットの方が大きいという主張だ」とみる。一方、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「金融機関経営にプラスの影響を与える副作用の面がある」との見方を示している。

日銀内では上場投資信託(ETF)購入についても「より弾力的でメリハリのある運用が重要」との声が上がる。原則年6兆円、上限年12兆円の購入枠の運用を見直し、株高局面では購入を抑える方策も議論する方針だ。

金融政策決定会合
金融政策決定会合は、日銀の政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を指す。年8回開催され、金融市場調整方針や金融政策手段などについて議論し、会合での決定事項を経済レポートとして公表している。参考:日本銀行
イールドカーブ・コントロール
イールドカーブ・コントロールは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブを適切な水準に維持することを意味する。日銀は2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定している。この政策の導入により、日銀は短期金利は日銀当座預金のうちマイナス金利を適用したほか、長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れを実施している。参考:FinTech Journal

関連記事

ページ上部へ戻る