イエレン次期財務長官、税制や通商などの方針を表明

ニュースのポイント

  1. イエレン次期財務長官は、企業や富裕層を対象とする一連の増税実現を目指し、議会と早期に取り組む方針を示した
  2. 対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはないと明言した
  3. 為替政策については、弱い為替相場を米国が目指すことはないと繰り返した

企業や富裕層を対象とする一連の増税実現を目指すことを表明

イエレン次期財務長官 引用元:日経新聞

次期米財務長官に指名されたジャネット・イエレン氏は、19日に上院財政委員会で開かれた指名承認公聴会を受け、議員からの質問に書面で回答した。院財政委は同氏の人事を前進させる予定だが、上院本会議での承認のための採決は来週まで行われない可能性がある。

同氏は、企業や富裕層を対象とする一連の増税実現を目指し、議会と早期に取り組む方針を示した。新政権は「中国の悪質な慣行にはあらゆる手段」を積極的に使うとし、対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはないと明言。さらに、「中国に実際に意味のある圧力をかける違ったアプローチが必要だ」とも指摘した。また、「通商上の不公正な優位を得るための人為的な為替操作に対しては、バイデン大統領は反対の意思を明確にしている。この意向を支持しており、承認を受ければ、いかなる為替操作に対しても政権内で協力して反対していく」とし、バイデン大統領と共に各国の為替操作をやめさせるよう取り組んでいくと表明した。

幅広いテーマに回答、「強いドル」については言及せず

イエレン次期財務長官とバイデン大統領 引用元:JBpress

イエレン氏は、その他にも税制や気候変動など、幅広いテーマに回答した。

・税制について

バイデン氏がまだ富裕税の具体案を示していないと説明。ただ、「投資所得で100万ドル(約1億300万円)以上の利益を得ている家計の同所得に対し、それら家計の所得税と同じ税率を課すとともに、富裕な納税者の最終利益を対象に、従来は非課税だった一部キャピタルゲインにも課税する」ことになるとした。また、年間所得が40万ドル(約4140万円)未満の世帯について、トランプ前政権が主導した2017年の減税が失効した後の影響などに対処するため、「議会メンバーとの協力」を約束した。バイデン氏は選挙戦で所得がこの水準を下回る世帯の増税はないとしてきた。法人税については21%から28%に引き上げるバイデン氏の提案に賛成する姿勢を示した。米国の競争力を弱めるとする共和党からの批判に「インフラや米企業を後押しする他のプログラムへの投資に資金を活用することができる」と反論した。

・米金融当局との連携について

前財務長官が段階的に廃止した米連邦準備制度の融資ファシリティーを、復活させるために新たな取り組みを開始する意向はないと示唆。だが同時に「今は行動が少な過ぎることが最大のリスクになる」と指摘した。また、資産購入の範囲について圧力はかけないと言明。「FRB前議長として、FRBが独立して金融政策を行う伝統の維持がなぜこれほど重要か、深く理解している」と述べた。

・為替政策について

19日の承認公聴会での発言と同様、弱い為替相場を米国が目指すことはないと繰り返した。一方、かつて財務省が使っていた「強いドル」には言及しなかった。

・気候変動について

有効なカーボンプライシング抜きに気候変動の危機を解決することはできないと指摘。バイデン大統領に対し、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を達成するよう助言するとした。

・対外経済制裁について

トランプ前政権はイランや北朝鮮、中国、ベネズエラ、ロシアと関係する企業や個人などに対し、多くの場合は一方的に制裁を科していた。制裁が対象を絞った効果的なものであり、意図しない結果を最小限に抑えられるよう、財務省として各制裁の慎重な見直しを行うと説明。

・暗号資産について

ビットコインとその他の暗号資産の規制アプローチについて、他の当局と協力して取り組む方針を表明。「正当な活動における暗号資産の活用を促す一方、有害で違法な活動への利用を抑える」ための検討が必要だとし、FRBやその他の規制当局と連携し、暗号資産その他の金融技術革新について実効性のある規制枠組みを導入していくとした。

キャピタルゲイン
株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。
例えば、株価30万円で購入した株式が、35万円になったときに売却した場合、差額5万円(手数料・税金を除く)がキャピタルゲインになります。キャピタルゲインは、株や債券だけでなく、不動産、金、プラチナなどの貴金属を売買することでも得られる可能性があります。
売却することによって損失が出た場合はキャピタルロスといいます。
キャピタルゲインに対し、資産を保有していることによって得られる収益(利息や配当等)をインカムゲインといいます。参考:SMBC日興証券
FRB
日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます。
連邦準備理事会は、7名の理事から構成されています。
FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。参考:SMBC日興証券
カーボンプライシング
「炭素の価格付け」とも呼ばれる。CO2排出量に直接価格を付ける「明示的カーボンプライシング」と、エネルギー消費量などに応じて間接的に課税する「暗示的炭素価格」の2種類に大別される。参考:SOLAR JOUNAL

関連記事

ページ上部へ戻る