中国とEU、投資協定に妥結 経済関係の緩和に期待

ニュースのポイント

  1. 中国と欧州連合(EU)が12月30日、投資協定を結ぶことに合意した
  2. EU企業は、電気自動車や民間医療機関、不動産などの分野で、中国での事業展開が許可される
  3. 東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続く大型協定で存在感を高める狙いがある

交渉開始から7年での合意

投資協定の合意に際して開かれたテレビ会議 
引用元:jiji.com

中国と欧州連合(EU)は30日、投資協定を結ぶことで大筋合意した。発効が実現すれば、欧州企業の中国市場参入の規制緩和に加え、産業補助金の透明化や共生技術移転の禁止を中国側が今後受け入れる形となる。この結果、世界2位と3位の経済規模を持つ国と地域の結び付きが一段と強まる格好だ。EU企業は中国市場への参入に弾みがつく一方、中国も東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続く大型協定で存在感を高める狙いがある。

EUと中国の首脳らが30日のテレビ会議形式で会談。中国から習近平(シー・ジンピン)国家主席、EUからミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領が出席した。

中国の人民日報によると、習氏は「世界経済の回復をけん引し、グローバル貿易や投資の自由化を促す」と強調。フォンデアライエン氏は声明で「EUの中国との経済関係のバランスを取り戻すものだ」と訴えた。

大筋合意したのは、2013年より交渉を進めていた「包括的投資協定」(CAI)。2021年1月20日に米国のバイデン次期政権が発足する前の駆け込み合意となった。新型コロナの打撃を受けた経済を再生させたいEUと、米国との対立の長期化をにらみ、独自の経済圏づくりと、日米欧などの「対中包囲網」の阻止を急ぐ中国の思惑が一致した。バイデン次期政権は合意直前に両者の接近をけん制しており、反応に注目が集まる。

EUが発表した文書によると、EU企業の中国への参入制限が緩和される。例えば、自動車産業では合弁会社の要件を段階的に廃止するほか、新エネルギー車の市場の解放が可能になる。私立病院事業の合弁要件が緩和されてEU企業が北京など主要都市に進出できるようになったり、現在は禁止されているクラウドサービスへの参入が50%の株式取得を上限に認められたりするようになる。これまでは事業展開の条件として中国企業との合弁を組む必要があったが、この条件は一部撤退される見通しだ。

中国政府による国有企業への補助金の透明性を高めたり、参入企業への技術の強制移転を禁止したりするなどの措置も盛り込んだ。合意に違反した場合は、違反者に対して法的な責任を問える紛争解決メカニズムを設立する。

EU内では、中国のウイグル自治区での強制労働や香港の民主派弾圧を問題視し、協定締結に難色を示す声も上がっており、EU首脳らはこうした人権問題への懸念を表面した。

また、交渉で最後まで対立した中国での労働者保護については、中国側は強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約の批准を目指すことを約束した。EUは文書で「中国の過去の協定で最も野心的な内容だ」と評価し、中国が歩み寄ったとの認識を示している。

包括的投資協定
EUと中国の包括的投資協定(CAI)は、EUが中国市場をEU向けに解放させるために2013年に開始した交渉。2019年4月に開催されたEU・中国サミットで、2020年末までにCAIに向けた交渉を妥結させることを目標として掲げ、特にドイツとフランスが合意に向けて積極的に動いていた。参考:Sustainable Japan
国際労働機関
国際労働機関(ILO)は、社会正義と人権、労働権を推進する国際機関。労働安全衛生マネジメントシステム「OSHMS」に関するガイドラインを策定し、各国に適用を推奨している。そのほか、国際労働基準の設定や、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)実現といった活動に取り組んでいる。参考:カオナビ

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