中国製造業が驚異的な回復 回復の原動力に海外からの需要

ニュースのポイント

  1. 新型コロナウイルス禍で全産業が損害を被る中、中国の製造業が、驚異的な回復を見せている
  2. 中国製造業の回復の原動力は、主に海外からの需要
  3. 一方で、輸出ブームは一過性という見方が強い

中国製造業が活況 10年ぶりに高水準の訳とは…

業務に勤しむ武漢のモニター工場の従業員 
引用元jp.reuters.com

中国の製造業が現在、予想を上回る驚異的な回復を示している。新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要の増加を受け、各地の工場では受注が急増。ブルーカラー労働者の不足の深刻化が加速している。一方で、現在の好況は、一過性との見方もあり、関係者は、アフターコロナの反動減に警戒を強めている。

12月1日に発表された2020年11月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は54.9。前月の53.6から1.3ポイント上昇した。10年前の2010年12月以来の高水準を記録したという。製造業のビジネスは需要・供給の両面で回復基調にあり、11月の生産指数と新規受注指数はそろって10年ぶりの高水準に上昇。新規受注の増加が生産拡大を牽引する好循環が、調査対象企業の多くで生じている。

他方、外需に関しては、新規輸出受注指数の改善幅は内需を若干下回ったものの、4カ月連続で拡大基調を維持している。海外では新型コロナウイルスの流行が続き、企業の生産活動が制約を受けているため、コロナの影響が小さい中国企業への発注が増えているとの見方がある。

マクロ指標のみならず、業界別に見たミクロな指標でも、製造業の好調が現れている。中国の産業ロボット、コンピューター機器、集積回路の生産は、一時は新型コロナウイルスの影響で停滞したものの、その後持ち直し、1─11月の生産はそれぞれ22.2%、10.1%、15.9%増加した。

中国製造業の回復の原動力は、米国や日本、香港といった主要な輸出先からの需要だ。重点産業に据える次世代通信機器やバイオ・医療素材などの需要が堅調で、中国の輸出の伸びは、過去9カ月のうち8カ月において、予想を上回った。

中国は、武漢が新型コロナの発祥地となった訳だが、国を挙げた感染拡大対策が奏功し、新型コロナの流行封じ込めにほぼ成功したとされている。対照的に、コロナの感染拡大にいまだに歯止めが掛からない他の主要国の多くでは、工場の生産体制が依然として正常化していない実情にある。

野村によると、世界の輸出に占める中国のシェアは、第2・四半期と第3・四半期は13%を突破、昨年の11%から上昇した。野村がデータの収集を開始した少なくとも2006年以来の高水準に達している。

欧米では緊急経済対策で消費者の懐が潤う中、新型コロナの感染防止に向けて中国製の個人防護具(PPE)の需要が拡大。消費者が自宅で過ごすことが増えたため、いわゆる「巣ごもり」需要も増加の一途をたどっている。

政府のデータによると、輸出ハブの義烏を含む中国浙江省金華市では11月、工業セクターの被雇用者が2017年末以来の高水準となり、輸出の好況が表面化した様相だ。

義烏で熱フラスコの工場を所有するオーナーは「年前半に50人ほどを解雇したが、今では受注が急増し人手不足になった。生産を拡大することができない」と語る。解雇した元従業員の一部は故郷で職を見つけており、来年2月に旧正月を控える中、戻ってきたがらないという。

顧客からの要望に対応すべく、このオーナーは11月末に、生産効率の向上のため2本の自動生産ラインを導入した。オーナーは「以前は考えたこともなかったが、今年はとにかく忙しく、選択肢が尽きた」と説明。1本の自動生産ラインは、労働者10人分に相当するという。

ブルーカラー労働者の需要を測定する中国人民大学の指数は、第3・四半期に過去最高を記録。地元メディアの報道によると、一部の工場では、人手不足対策のため工員の賃金を25%引き上げて月1万元(1530ドル)とし、大卒者の平均初任給を大幅に上回る額に設定したという。

「2020年は過去10年で最高の年」と自転車製造の関係者

引用元:afpbb.com

製造が活況を呈しているのは、医療関係のメーカーだけではない。コロナ禍の中、自動車やバスといった公共交通機関に代わる移動手段として、需要が増える自転車もその1つだ。

広東省広州に本社を置く自転車製造会社の幹部は、新型コロナの影響で海外の消費者が公共交通を避ける傾向が強まったため、中国の自転車産業にとって「2020年は過去10年間で最高の年になった」と話す。

 

同幹部は「9月と10月に生産能力を一杯に使い切り、臨時の労働者もたくさん雇った」と説明。工場では現在、1000人程度の正規の従業員に加えて、臨時の労働者が100人ほど働いているという。

設備投資を含む製造業の投資は、1─11月は3.5%減と、回復の足取りは鈍い。ただ、力強い輸出需要を背景に、第4・四半期は持ち直している。投資銀行CICCのアナリストによる調査によると、投資は11月は前年同月比12.5%増と、10月の3.7%増から加速している。

欧米向けにスピーカーを生産している会社のオーナーは、過去数年との比較で需要は25%増加していると話す。この会社では、需要拡大に対応するため社員に残業させているほか、フルタイムの従業員を20%上回る時給約18-19元で、臨時の労働者も雇っている。さらに、最終手段として、他の工場を賃借して生産を肩代わりさせているとのことだ。

輸出ブームの警戒心を露わに

引用元:http://jp.xinhuanet.com/

当然ながら、現在の輸出ブームは2020年が厳しい年だっただけに、市場関係者だけでなく、政策当局者にとっても歓迎すべきものだ。アナリストは、中国輸出セクターの驚くほどの耐性により、国債を買い上げる金融緩和策など、景気浮揚に向けた大規模な刺激策を講じる必要性が低下したと指摘する。実際、中国は11月末までに、年間の雇用創出目標を122%達成した。

ただ、新型コロナの流行が沈静化すれば他の諸国でも生産が拡大すると見込まれるため、製造業者はこのブームが続くとは考えていない。前述の自転車会社の幹部は「(輸出ブームは)パンデミック(新型コロナ大流行)で始まった。ワクチンが普及すれば終わる」と話し、警戒色を示した。

 

財新中国製造業購買担当者指数
財新中国製造業購買担当者指数は、中国国内の製造業担当者の景況感を測定する指標。一般に景気の改善と悪化の分岐点となるのが50で、50を超えると景気拡大、50を下回ると景気減速を示す。参考:インベスティング・ドットコム日本版

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