新型コロナ禍で債務膨らむ中で中央経済工作会議が開催 2021年は「穏健」かつ「合理的」金融政策に注力

ニュースのポイント

  1. 中国共産党が、翌年の経済運営の道筋を決める中央経済工作会議を開き、「より正確かつ効果的な政策運営を行うべき」とする運営方針を国営メディアを通じて18日に伝えた
  2. 中国当局は2021年、債務比率をGDP比で今と同じ水準を維持するため、名目経済成長に沿うようマネーサプライと全体のファイナンスの伸びを鈍化させることを目指す
  3. 米政府との緊張関係を受け、中国政府は2021年、経済面での重要課題を「戦略的科学およびテクノロジー力」とした

2021年は、積極的な財政政策を維持しつつ、持続可能性の向上目指す

引用元:www.gov.cn

中国共産党は、翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議を開き、新型コロナウイルス禍における経済低迷を受け、2021年は「より正確かつ効果的な政策運営」とする経済指針を固めたと国営メディアを通じて18日明らかにした。中国は2021年、「穏健」かつ「合理的」金融政策を実行する一方で、債務比率の安定化にも努める考え。景気浮揚に向けた積極的な財政政策を維持しつつ、国家の持続可能性を高めることも決定した。

中央経済工作会議における決定方針は、中国の金融・財政政策スタンスの軸となるため、この声明には注目が集まる。ただ、正確な目標は翌年の3月まで通常発表されない。

マネーサプライと全体的なファイナンスの伸びを鈍化させる

引用元:bloomberg.co.jp

中国は今年、新型コロナの発祥地でありながらも、国家主導の感染拡大防止策を講じるとともに、財政・金融政策を緩和し、ロックダウン(都市封鎖)終了後の国内景気を押し上げた。結果、コロナショックに喘ぐ世界経済の段階的な持ち直しに貢献した。

そんな中、工作会議の開催前より金融・財政政策に関する文言は先のガイダンスから変更されており、今年の浮揚策を踏まえ2021年の刺激策ではより慎重なアプローチが示唆された。同時に景気回復が「まだしっかりしていない」として、方針の急転換はないという。

そうした指針が事前に示されていることから、工作会議では、中国は回復に「必要な支援を維持」し、「より正確かつ効果的な政策運営」を行うべきだとしながらも、「急転換」してはならないとの認識が示された。

ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらは、財政赤字目標が国内総生産(GDP)比で今年の3.6%から来年は3%に戻り、与信の伸びが鈍ると分析。「政策支援を縮小・解除するタイミングと規模に政府は留意することになる」と指摘した。

経済成長率は、IT産業の進展などが後押しし、今年の2%から21年は8%強に上昇すると予測されているが、債務が膨らむ中で中国当局は経済のリスクを再び減らす方向に軸足をシフトしつつある。

国営メディアによると、中国当局は来年「マクロレバレッジ比率の基本的安定維持」に加え、債務比率をGDP比で今と同程度の水準に維持するため、名目経済成長に沿うようマネーサプライ(通貨供給量)と全体的なファイナンスの伸びを鈍化させることを目指す。債務比率の上昇を抑え、持続可能な財政運営に注力する構えだ。

米政府との緊張関係を受け、中国政府がテクノロジー面で自立を高めようとしていることは声明から明らかで、経済面での来年の最重要課題として「戦略的科学およびテクノロジー力」の強化を挙げた。さらに地政学的な要衝「チョークポイント」となるような鍵を握る技術を中心にサプライチェーンの「自主コントロール」強化も重視するとのことだ。

中央経済工作会議
中央経済工作会議は、中国の共産党と政府が年に1回、翌年の経済政策の運営方針を決めるために開く。12月に2~3日の日程で開くことが多い。総書記ら党最高指導部のほか、閣僚や地方政府や大手国有企業、軍の幹部らが参加し、経済成長率や物価など経済運営の目標を議論する。具体的な目標値は、翌年3月の全国人民代表大会の政府活動報告で公表する。参考:日本経済新聞
マクロレバレッジ比率
マクロレバレッジ比率は、非金融企業部門、政府部門、家計部門の債務残高合計の対GDP比率と定義される。国際決済銀行が集計する非金融部門債務総額の対GDP比率に相等するという。国際決済銀行によると、マクロレバレッジ比率が10%を超えてくると、3年以内に債務総額が急速に縮小する過程に転じる可能性が大きいとされ、このような状況では、バブルの生成と崩壊を繰り返す可能性が高いという。参考:Science Portal China
名目経済成長
名目経済成長は、国内で生産された製品・サービスを時価で示した名目国内総生産の伸び率。物価変動分を調整せず、対象期間の時価で評価するため、消費者や企業経営者の実感に近い。参考:goo辞書
マネーサプライ
マネーサプライは、金融機関から経済全体に供給されている通貨の総量を示す指標。通貨供給量とも呼ばれる。一般法人や個人、地方公共団体などの通貨保有主体が保有する通貨量の残高を集計したもので、通貨残高とも言う。参考:大和証券
チョークポイント
チョークポイントは、海洋国家の地政学における概念の1つ。シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上航路を言う。陸上は含まず、海峡や運河、港湾など、水運の要衝を指す。参考:weblio辞書

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