暗号資産ビジネスに乗り出した世界の大手銀行 2021年以降に本格化か

ニュースのポイント

  1. イギリスのスタンダードチャータード銀行など大手銀行が相次いで暗号資産ビジネスに乗り出している
  2. 大手取引所「LMAX」のデビッド・マーサーCEOは「銀行が暗号資産関連サービスを開始するのはまだ先であり、数年はかかる」と指摘した
  3. 銀行は暗号資産を正当な資産クラスとして支持し始めたと多くの人は捉えている

2020年下半期、世界各国の大手銀行が暗号資産市場に乗り出した

英大手スタンダードチャータード銀行
引用元:http://blog.livedoor.jp/hsbcmaster/archives/49535356.html

ビットコインが史上最高値を更新した2020年。世界各国の大手銀行が暗号資産に関連するサービスに乗り出した年でもある。これまで暗号資産市場に対して、様子見をしている大手銀行が多かったが、下半期に米決済大手ペイパルの本格参入などを皮切りに、多くの銀行もその動きに加わった形だ。

スタンダードチャータード銀行は世界的サッカークラブ「リバプール」のユニフォームの胸スポンサーでもお馴染みの英大手銀行である。同行は暗号資産カストディ(保管)サービスの提供に向け、アメリカに拠点を置く資産運用会社ノーザン・トラスト(Northern Trust)との提携を発表した。その他5~6社の暗号資産取引所と協力して、取引プラットフォームの構築に取り組んでいる。

東南アジア最大の銀行である、シンガポールのDBS銀行はデジタル通貨取引所の運営を先日開始した。ブロックチェーン技術を利用した取引所で、参加できるのは機関投資家と承認を受けた特定の投資家のみに限定されている。資産のトークン化から取引、保管まで一貫サービスを提供する。

また、ロシアのエネルギー大手の子会社であるガスプロムバンク(Gazprombank)はスイスで暗号資産カストディサービスを11月に開始した。スペイン第2位の銀行、BBVAも同じく暗号資産の取引とカストディサービスをスイスからスタートさせることが明らかになった。関係者は、2021年1月のサービス開始もあり得ると述べたが、BBVAはコメントを控えた。

その他にも、スイスの証券取引所運営SIXグループの子会社で、デジタル資産の取引サービスを手掛けるSIXデジタル・エクスチェンジ(SDX)は日本のSBIホールディングスと提携し、シンガポールに暗号資産取引所を2022年初頭に開設予定だ。

今後の銀行業界における暗号資産ビジネスとは?

英大手取引所「LMAX」デビッド・マーサーCEO
引用元:https://www.lmax.com/press-centre/aiming-high-and-growing-fast-a-unique-vision-for-global-fx

一方で、英大手取引所「LMAX」のデビッド・マーサーCEOは「ニュースは銀行の参入を積極的に伝えているが、実際に銀行が暗号資産関連サービスを開始するのはまだ先であり、数年はかかる」と指摘する。「ほとんどの場合、銀行は既存のカストディ・サービスを拡張している。銀行がやっていることは、保有する技術力の活用だ」と述べ、さらに「暗号資産に参入することは、暗号資産を取り扱い、それを保有することを意味する。暗号資産関係者は、こうした技術サービスを取り上げ、『巨大銀行が暗号資産サービスを始めようとしている』と言っているが、そうではない。銀行はサービスを拡張し、そのビジネスの将来性を考えているに過ぎない」と加えた。

これまで銀行業界では資金の出所を追跡できないことや、暗号資産ビジネスに参入するためには、顧客確認/アンチマネーロンダリング(KYC/AML)要件の遵守にさらにコストや手間を費やす必要があることから、様子見の姿勢を維持してきた。スタンダードチャータード銀行のベンチャー部門の責任者アレックス・マンソン(Alex Manson)氏は「機関投資家向けのインフラを持つことで、機関投資家向け取引の要素を実現していく。機関投資家向けサービスに興味を持っている取引所はすべて、潜在的な顧客となる」と語った。

とはいえ、まだ世界的に見ても大手銀行によるこういった動きは出始めたばかりだ。銀行にとってもカストディ(資産管理・保管)は、利幅の小さい金融サービスとなる。まだ、暗号資産市場は銀行がリスクに見合ったリターンを得る方法を見極める必要のある新しいニッチな業界に過ぎない。だが、暗号資産業界への参入が続いているということは、銀行は暗号資産を正当な資産クラスとして支持している証だと、多くの人は捉えている。

ペイパル
電子メールアカウントとインターネットを利用した決済サービスを提供するアメリカの企業である。PayPal口座間やクレジットカードでの送金や入金を行う。
1998年12月にPayPal Inc.の社名で設立。2002年にeBayに買収されその子会社となっていたが、2015年7月にPayPal Holdings Inc.の社名で独立した。なお、日本を含む同社の国際部門は、シンガポール(PayPal Pte. Ltd.)を拠点としている。参考:Wikipedia
トークン化
機密データを非機密データに置き換えることで保護する仕組みです。トークン化によって、データは認識不可能なトークン形式になりますが、元のデータのフォーマットは保持されます。データのトークン化により、クラウドやビッグデータ、外部委託環境に移行する際も、制御機能やコンプライアンスを維持できます。参考:THALES
LMAX
LMAXグループは、電子外国為替(FX)と暗号通貨取引のための複数の機関の実行場所を運営するグローバルな金融テクノロジー企業です。英国のロンドンに本社を置くLMAXGroupは、ロンドン、ニューヨーク[、東京のマッチングエンジンを含む、独自の高性能で超低遅延のグローバル交換インフラストラクチャを構築および実行しています。同社は、ニューヨーク、シカゴ、香港、シンガポール、東京、オークランドに支社を置いています。参考:Wikipedia

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