- 2021/1/27
- 資産運用
国債は低リスク?国債のメリット・デメリット|国債の種類や金利・ポイントまで解説

投資先金融商品の選択しの一つとして「国債」があります。低リスクと言われ、一時期は個人投資家に非常に人気のある金融商品でした。
しかし近年では、国債を利用している方は少ないのではないでしょうか。
今回は、国債のメリット・デメリットや国債がどういうものなのかについて解説していきます。
メリットやリスクを理解して上手く活用し、資産形成に役立てていきましょう。
そもそも国債とは?
国債とは、国が発行する債券のことです。正確には、日本国政府が発行するものを「国債」と呼び、当然、外国政府が発行する「外国債券」もあります。
この「債券」というのは、資金調達を目的とした有価証券のことです。債券には、額面金額が設定されており、額面金額を返す償還日も決まっています。
このとき、債券の償還日に発行体が破綻していなければ、買ったときと同じ額面金額が戻ってくる仕組みです。
その仕組みでは利益が出ないのでは?と思われるかもしれませんが、債券の保有中は一定の利子が支払われます。
これが、債券のリターンになるのです。
株式投資やFXなどのように、売買して利益を出す必要がないので比較的初心者向けの投資といえるでしょう。
さらに、国債にはさまざまな種類があります。
- 利付国債
- 割引国債
- 個人向け国債
- 新窓販国債
4種類の特徴が違いを、以下で解説します。
利付国債
利付国債とは、1年に2回、利子の支払いが行われる国債です。基本的に、満期時まで保有していれば、元本割れすることはありません。
元本割れするときは、国が破綻したときです。国の破綻はまず可能性が低いので、基本的に安全な債券と言えるでしょう。半年に1回確実に利子を受け取れるので、安定的かつ継続的な利益を得られます。
割引国債
割引国債は、利子がない債券です。正確には、「こまめに利子が支払われない」といった方が正しいでしょう。
割引国債は、発行時に満期が設定されていますが、発行価格は満期までの利子分が引かれた形となっています。
そのため、満期時に受け取る額面金額が発行金額を上回り、その差額が利益となる仕組みです。
利付国債は先に利益を得る仕組み、割引国債は後から利益を得る仕組み、と考えると良いでしょう。
個人向け国債
個人向け国債は、名前の通り個人でも購入できる国債です。個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証しているので、安全な投資といえます。
個人向け国債の種類は、3種類です。
- 変動10年タイプ
- 固定5年タイプ
- 固定3年タイプ
期間の他に、変動と固定の違いがあります。どちらかというと、期間よりも「変動」「固定」の違いを理解しておく方が重要です。
それぞれの種類を、以下で解説します。
変動10年タイプ
変動10年タイプは、半年ごとに利率が変わる、変動金利タイプの国債です。満期は3種類のなかで、もっとも長い10年。
実勢金利に応じて利率が変動するため、利子の金額は増減します。ただし、満期時に実績金利が上昇しなくても、年率0.05%の最低金利保証があるので、損をすることはありません。
しかし、想定していたよりも受け取れる利益が少なくなる可能性があります。
固定5年タイプ
固定5年タイプは、発行時の利率が5年間変わらない国債です。実勢金利に関わらず、5年間同じ利率が適用されます。
ただし、実勢金利が上昇した場合、変動10年のような変動タイプの方が良いです。
堅実に決まった金額を受け取るか、多くのリターンを期待して、利益が下がるかもしれない変動を選ぶか、どちらの方が得とは一概にいえません。
初心者の場合は、金利が変動しない固定タイプの方が良いでしょう。
固定3年タイプ
(参考図解)
固定3年タイプは、発行時の利率が3年間変わらない国債です。基本的には固定5年と同じで、満期が3年に変わったものが固定3年タイプになります。
個人向け国債では、3種類のなかでもっとも短いです。「固定金利は得たいけど、実勢金利の上昇も気になる」のような、変動10年タイプと固定5年タイプのちょうど中間あたりといえるでしょう。
実際に国債でどれだけの利益になるか試したい方などは、固定3年タイプから始めてみてください。
新窓販国債
新窓販国債は、個人に限定されず、法人の名義でも購入できる国債です。個人向け国債との違いは、途中解約が認められていないことと、市場への売却が可能なこと。
売却のタイミングによっては、元本割れする可能性があるので、投資に慣れている方に向いているでしょう。
満期は2年・5年・10年満期とあり、すべて固定金利となっています。
国債の金利は2種類
国債の金利は、主に2種類です。どのように利益を得るかによって、2種類のなかから選ぶと良いでしょう。
- 変動金利
- 固定金利
2種類の違いは、手堅く利益を得るか、大きな利益を望むかの違いです。それぞれの特徴を解説します。
変動金利
変動金利は、半年毎に適用金利が変更されます。そのため、受け取る利子が変わるのが特徴。
実勢金利の動きに左右されるので、金利が上昇し、利益が増えることもあれば、反対に金利が低下して利益が減ることもあります。
最低金利より下回ることはないので、損にはなりませんが、大きな利益を得るか小さな利益になるか、一種の賭けになってしまうでしょう。
固定金利
固定金利は発行時に設定さた利率が、満期まで変わりません。実勢金利が下落した場合でも、設定時の金利が適用されるため、確実に決まった利益を受け取れます。
つまり、購入した時点で受け取れる額がわかるということです。ただし、金利が上昇していた場合は、変動金利の方が高い利益になります。
国債4つのメリット
国債の主なメリットは4つです。
- 安定している
- 預金より金利が高い
- 少額投資可能
- 最低金利保証がある
国債のメリットを十分に理解した上で、投資を行うようにしましょう。
安定している
国債は、安定しているのが大きなメリットです。発行が国家であるため、国の信用が高ければ、破綻するリスクはありません。
日本であれば、破綻するリスクはかなり低いので、安全な投資といえます。安全性重視で、少しでも利益を出したい方におすすめです。
預金より金利が高い
国債は金利の高さも特徴。同じように購入して利子を待つだけなら、「預金でも良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、銀行の定期預金金利は、2021年現在、それほど期待できるものではなく、0.01%程度になることがあります。
国債は下限金利でも0.05%なので、預金よりも金利が高いです。
少額投資可能
個人向け国債は、少額からでも投資可能です。株式投資や不動産投資の場合、数十万円単位の初期費用が必要になります。
しかし、個人向け国債は最低1万円から購入可能で、1万円単位で追加購入可能です。
当然1万円の購入では、利子として受け取れる金額は少ないですが、少しでも利子が受け取れるのはメリットではないでしょうか。
少額の資金でも始められるので、気軽な資産運用として使えます。
最低金利保証がある
国債は、最低金利保証があります。そのため、元本割れすることがありません。
変動金利タイプにおいても、実勢金利によって受け取れる金額は変わってしまいますが、0.05%を下回ることがなく、安全な取引ができます。
ほぼ確実に利子を受け取れるので、どんな方でも安心して始められるでしょう。
国債4つのデメリット・リスク
国債には、デメリットもあります。国債を購入する前には、デメリットやリスクも理解しておきましょう。
主なデメリット・リスクは4つです。
- 途中解約できない
- 購入期間がある
- 金利変動リスク
- 信用リスク
それぞれのデメリット・リスクを、以下で具体的に解説します。
途中解約できない
国債は、すぐに途中解約できません。個人向け国債の場合、最低1年間は保有する必要があります。
また、1年経過後に途中解約による換金を行うことは可能ですが、経過期間によっては、利子が低くなる恐れがあるのです。
国債は、基本的に満期まで保有することで大きな利益を得られます。購入する時点で、途中解約は考えない方が良いでしょう。
購入期間がある
国債は、いつでも購入できるわけではありません。通常毎月発行されているものではありますが、募集期間内に金融機関で申し込みを行って購入します。
さらに、募集期間は国債の種類によって異なるため、発行スケジュールを確認しておかなければ、購入のチャンスを逃しかねません。
株式投資や不動産投資の場合、初期費用さえあればいつでも始められますが、国債はいつどんなタイミングでも購入できるわけではないので、デメリットといえるでしょう。
金利変動リスク
金利変動リスクに関しては、固定金利を選ぶか変動金利を選ぶかによって異なります。
変動金利の場合は、半年ごとに金利が見直され、利子が低くなる可能性。
固定金利の場合、金利が上昇したときに、その分の金利が受け取れない可能性があります。
金利変動リスクを抑えるためには、金利が高い水準にあるときには固定金利を、低いときには変動金利を選ぶなど、対策が必要です。
損失をまねくものではありませんが、せっかく投資をしても利益が少なくては投資の意味を感じられないでしょう。
少しでも多くの利益を得られるように、国債購入の前に金利を確認しておくと良いですね。
信用リスク
国債は、基本的には安全な投資です。しかし、国の財政が滞ったり、国が破綻してしまえば元本割れしてしまいます。
このようなリスクが、「信用リスク」です。あまり知られていませんが、国の信用リスクは、格付け機関による「信用格付け」というものがあります。
格付け機関は、以下の3つが有名です。
- Moody’s(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)
- S&P(スタンダード&プアーズ)
- Fitch Ratings(フィッチ・レーティングス)
では、日本の信用ランクはというと、他の先進国に比べると、決して高くはありません。
国が破綻する可能性は低いですが、リスクが全くないわけではないので、注意しておきましょう。
国債を購入する際の2つのポイント
国債を購入する上で、重要なポイントがあります。
国債を利用して利益を得るのであれば、以下の2つのポイントを重視しましょう。
- 満期まで保有する
- 目的によって金利タイプを選ぶ
国債は安定的かつ安心できる投資なので、なんとなく保有する方が多いです。
もちろん、なんとなく保有するだけでも最低金利保証がつくので、利益は受け取れます。
しかし、それでは大きな利益につながりません。
利益重視で国債を購入するなら、以下のポイントを理解しておきましょう。
満期まで保有する
国債は、満期まで保有するようにしてください。
途中解約できないことはありませんが、途中解約をすると、利益が減ってしまいます。
実際に、どのくらい利子が引かれるかというと、直前2回分の各利子相当額×0.79685です。
元本割れすることはありませんが、ほとんど利子のつかない状態になってしまいます。
これでは、ただ国にお金を貸して、そのままお金を返した戻ってきた状態と同じです。
利子による利益を狙うなら、満期まで保有し、できるだけ多くの利益を受け取りましょう。
基本的には、緊急時を除いて、満期まで保有するものだと考えてください。
目的によって金利タイプを選ぶ
国債の、固定金利と変動金利は、自身の目的によって選びましょう。
固定金利は、満期後の受け取れる金額が正確に把握できるので、計画が立てやすいです。
変動金利は満期後の金額を把握することはできませんが、大きな利益になる可能性があります。
初心者向けは固定金利、投資家向けは変動金利と考えて良いでしょう。
目的はもちろん、自分に合っているものを選んでください。
国債は安定的している投資
国債は、他の投資と比べれば、かなり安全な投資といえます。
まったく可能性がゼロではないといっても、基本的には元本割れするリスクは低いです。
株式投資や不動産投資のように、こまめに管理やチェックする必要がないので、初心者向けの投資といえるでしょう。
安定しているかつリスクのない投資をするなら、国債から始めてみてください。