宇宙での原子力利用に向け、英国宇宙局とロールスロイスが提携

ニュースのポイント

  1. 英国宇宙局と英自動車大手ロールス・ロイスが1月12日、宇宙探査への原子力技術の活用に関する研究で提携すると発表した
  2. 原子力推進によって、火星までの移動時間は現在の半分である3~4ヶ月分に短縮できるという
  3. 火星や他の惑星への移動時間を短縮できれば、物資や、宇宙飛行士の宇宙放射線被曝量の軽減につながる

原子力開発に知見を持つロールス・ロイスとの提携で、宇宙開発を加速

引用元:newsweekjapan.com

イギリス宇宙局と英自動車大手ロールス・ロイスは年1月12日、宇宙探査への原子力技術の活用に関する研究において提携することを発表した。 今後数十年間の宇宙探査で豊富なエネルギー源としての原子力の可能性を探求する狙い。

宇宙探査に原子力を用いるアイデアは、20世紀より存在した。米ソ冷戦時代は、原子炉の熱で温められた水素などの推進剤を噴射することで、推進力を得る核熱推進ロケットエンジンが研究されていた。この研究では、米国の航空宇宙局(NASA)が、1961年から1972年にかけて「NERVA(Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)」プログラムのもとで、開発を進めた経緯がある。

こうした背景を踏まえ、アマンダ・ソロウェイ科学担当大臣は、今回の提携について、「原子力は宇宙探査に変革をもたらす可能性を秘めている。ロールス・ロイスとの革新的な研究によって、次世代の宇宙飛行士をより速く、より長期にわたって宇宙に送り込み、宇宙の知見を大きく増やすことができるだろう」と期待を寄せている。

原子核の分裂で放出される膨大なエネルギーを用いる「原子力推進」は、既存のロケットの動力源である化学ロケットエンジンに比べて効率が2倍高いため、火星までの移動時間を現在の半分の3〜4ヶ月にまで短縮できると考えられている。課題とされる火星や他の惑星への移動時間を短縮できれば、水や食料といった物資を減らせるほか、宇宙飛行士の宇宙放射線被曝量の大幅な軽減にもつながる。

原子力推進は、太陽から離れていても動力が確保できる点でも秀でている。現在の宇宙船や探査機は主に太陽電池を使っているが、外太陽系では太陽光が薄暗すぎてソーラーパネルで発電できず、燃料電池などの他の手段では、エネルギー源として安定していない難点を抱えていた。一方、原子力は、太陽から離れた宇宙船でも電力を捻出でき、夜が2週間続く月面のような環境でも安定して電力が確保できるという。

ロールス・ロイスは、過去60年にわたり、イギリス海軍の原子力潜水艦に搭載する原子力推進プラントの設計・調達・サポートを担うなど、原子力の分野で数多くの実績がある。

ロールス・ロイスのデーブ・ゴードン英国上級副社長は「宇宙に向けた未来の原子力技術を決定づける先進的なプロジェクトにイギリス宇宙局とともに取り組むことを楽しみにしている」と抱負を語っている。

英国の宇宙開発
英国では、国の宇宙開発計画が1982年にできて以降、持続的に宇宙開発に取り組んでいる。昨今では、英国議会が2018年に宇宙産業法を可決。以降、英国初の垂直発射型発射場をスコットランド北部に建設するなど、急速に高まりつつある宇宙開発への関心を現実のものとしている。参考:NEWS PICKS
ロールス・ロイスの宇宙開発事業
宇宙開発の主力事業に据えるロールス・ロイスは、世界最速の民間航空機を製造するブーム・スーパーソニックと提携し、フラグシップ超音速旅客機「オーバーチュア」向け推進システムについての検討を進めている。また、大気中の二酸化炭素から車や燃料を作るプロメテウス・フューアルなどの支援を受け、超音速飛行への持続可能な航空燃料(SAF)の利用拡大も検討しているという。参考:ロールス・ロイス

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